螺旋姦獄 奪われた僕の幼馴染み
【7】悲痛なる決意
ハァハァと全身を汗だくにして僕と真夜さんは肌を密接して心地よい余韻に浸っていた。
すると、どこからか着信を知らせるメロディを奏で始めた。
「アナタに電話みたいね」
真夜さんの手に握られていた僕のスマホの画面には送信者である渚の名前が表示されていた。
先ほどまでの映像が脳裏にこびり付いている状態でまともに彼女とは普通に会話ができずはずもない。それなのに真夜さんは通話状態にすると僕の前に端末を突き出してくる。
『ねぇ、今日は部活を休んだって聞いたけど大丈夫?』
「え、あ……大丈夫……だよ」
玲さんに聞いたのが、どうやら心配して僕に連絡をくれたらしい。
いつもと変わらない渚の声にホッとさせられるとともに、自然と言葉がでてくるから不思議だ。
何気ない会話を交わせるのも幼馴染みとして長い間一緒に過ごしてきた成果だろう。なんとかやり過ごして真夜さんと繋がっている現状を隠し通したい。
クスクスと目の前で笑う彼女の声が渚にも聴こえてしまうのではと心配になったが、あちらもなにか作業しながら通話しているようで意識が散漫になっているように感じる。
それに時々、不自然に会話が途切れたりするのも少し気になりだす。人の気配を近くに感じる彼女は今はどこにいて、誰と一緒にいるのだろうか、気になりだす。
「ところで、渚の方こそ練習はどうなんだよ、今は休憩中なのか?」
『えッ……あッ、うぅン……そうだね……ボクは……だ、大丈夫だよ』
なにかを必死に堪えているような息遣いも聴こえてくる。不審に思い始めた僕に真夜さんが自分の後ろを見るように合図を送ってきた。
彼女の背後、壁一面の鏡に変化が起こっていた。映り込んでいた自分たちの姿が次第に薄れて代わりに別の映像が浮かび上がってくる。
それは先ほどの沢村たちが出てきた映像にあった拷問室のような部屋だった。
鏡だと思っていたのは電動マジックミラーで、それが切り替えられたことで隣の部屋が見えるようになったのだと理解する。
正面にはあの黒シーツのひかれたベッドが当然のように存在して、そこには複数の人影が見えてくる。
徐々に鮮明になっていくと人影のひとりが女性で、残りは三人の男だとわかってくる。
「まさか……」
そのいずれの人物も全裸であり僕の知っている人物だった。
まずベッドに横になっているのは沢村だ。鋼のように鍛えられた肉体を横たわらせて、その上に渚を跨らせている。
アイマスクで視界を封じされた彼女の首には、奴隷の証である首輪は巻かれており、脇に立つ人物に繋がるリードを握られている。
裸体には複雑に組み合わさった黒革のハーネスが絡みついて、卑猥に変形するようにキツく締め付けている。
その両側で仁王立ちしているのが榧野と土屋だ。ニヤニヤと嫌な笑みを浮かべながら、股間でそり返る怒張に渚の細くなめらかな指を絡めさせて扱かせているのだ。
榧野が首輪のリードを握り、土屋が手にしたスマホを彼女の前に突き出している。奴隷奉仕をさせている合間に僕と通話させていたのだ。
時折、会話が途切れるのは沢村に騎乗位で突き上げられて喘ぎを必死に堪えたり、口に突っ込まれる肉棒にフェラチオ奉仕をしているためだった。
だが、いくら頑張ろうとも三人を相手にそれも僕と通話しながらでは射精に導くのは不可能だろう。
次第の焦りだした彼女は注意が散漫になって僕への配慮が疎かになってきていた。
『は、はやく逝って……もし、彼に知られたら……』
目の見えぬ状態で男たちへの口腔奉仕を必死におこない、腰を振って埋め込まれた剛直を締め上げてみせる。
そんな彼女の努力も虚しく男たちは余裕の気配をみせていた。
彼女の哀しい呟きとジュボジュボと肉棒を口で扱きあげる生々しい音まで漏れ聴こえてくるようになり、彼女が僕に現状を知られるのを極度に恐れているのが伝わってくる。
その悲痛な決意と嗜虐性たちに性奉仕する牝奴隷姿に僕は自然と涙が溢れてきた。
(渚に……彼女に、僕が知っているとバレてはだめだ……)
ギリギリで精神が崩壊せずにいられるのは、僕や玲さんとの日常に戻れることが心の支えになっている。
それが崩れ去ったら彼女の心はどうなってしまうのか考えるだけでも恐ろしい。
それをわからせるために、連中はこんなことを仕込んだのだと身に沁みて理解させられた。
そして、それを盾に僕らを嬲り愉しむ気なのもわかってしまう。
僕の決意に満ちた顔つきに舌舐めずりした真夜は、再び腰を振り始めて膣奥まで咥え込んだ肉棒を責め始めたからだ。
「――なッ、どうして……くぅぅ……」
『……どうしたの? そこに誰かいるの?』
練習に出ていることになっている渚とは違い、体調不良で家にいるはずの僕には周囲に人がいるわけがない。
焦る僕の様子に真夜はさらに手を加えて、乳首に指を這わせて転がしながら、耳に舌まで入れてきた。
「だ、誰も……いない……よ……うぅ……テレビがつけっぱなしだから、その音……くぅ……かなぁ……」
『あぁン……そ、そうなんだ……そういえばテレビ……んッ……んんぅ……うぷぅ……といえば……』
僕らはお互いに嗜虐者に責められながらも相手に気づかれてはいけなかった。
それを理解させつつ連中は執拗に僕と渚を嬲ってくるのだった。
(は、はやく、終わってぇぇッ)
それが渚とは僕の悲痛な叫びだった。最後にはお互いに何を話していたかも覚えてない。
愛しい相手の声を聴きながら激しく絶頂を向かさせられていた。
放心状態の姿になって、ようやく通話は終わってくれた。
「あぁ、ふたりが相手を想って必死に隠している姿……実に素晴らしかったわ」
その光景を思い出すだけでゾクゾクと興奮で背筋が震えるのだろう。真夜さんは嗜虐に昂ぶる瞳を輝かせて僕を見つめてくる。
健気に耐え忍んでみせた僕らの姿は、連中の嗜虐欲を大いに昂らせてしまったらしい。電動マジックミラーで隔てられた両側で、再び僕と渚は激しい性拷問にあうことになる。
その後、どうやって帰宅したのかまったく覚えていなかった。
明け方近くに悪夢で目覚めて、そこが自室のベッドの上だとようやく認識する。
次第に意識が鮮明になってくると自分の身体に異変があるのを感じた。
慌てて布団を跳ねのけて下半身を確認すると、そこには光沢を放つ銀色の貞操帯が装着されているのが見える。
しっかりと施錠がされて簡単には外せそうもない。ましてこの姿を他人に見せる勇気もあるはずもない。
さらなる絶望へと追いやれた僕の元にタイミングよく一通のメッセージが着信する。
それは霞 真夜からのもので、今まで通りの生活を送るように釘をさして忠告するものだった。
朝になって登校時間になっても僕はベッドから出られなかった。
貞操帯を装着されたショックも大きかったが、一緒につけられたアナルプラグの感触に戸惑っていたからだ。
普段は閉じされている肛門を押し開くように挿入された栓だ。常に異物を咥えてこまされた肛門の感覚は排泄途中のようで落ち着かない気分にさせられる。
一歩あるくごとになにか漏れ出していないか振り向いてしまう。こんな状態で他の人に異変を気付かれないように過ごすのは無理だった。
スゴスゴと玄関からの戻った僕はベッドに潜り込んでいた。
幸いなことに渚が起こしにくることもなかった。追加のメッセージに怯えながら引きこもっていたのだった。
「あれ? 人の気配がする……渚かな」
午後になってトントンと階段を登ってきた気配の後、自室の扉が開かれた。
だが、そこに立っていたのは予想してた人物とは違う。真夜さんが憮然した様子で立っていた。
「私の忠告をさっそく無視するとは、やってくれるわね」
「な、なんで……」
「鍵なんてとっくにコピー済みよ」
恐らく気を失っていた時か、渚に渡している合鍵からコピーが取られたのに違いない。
普段のクールな眼差しは零下の冷たさを発していた。それだけでも相手が非常に怒っているのがわかる。
(あぁ、これはマズイッ)
相手が手にしたスマートフォンの画面には、僕が彼女と交わっている姿が再生されている。
連中の行動から相手も簡単には渚を手放したりしないだろう読みだったが、こうなると話が違ってくる。
渚だけでなく僕自身の映像も相手は掌握していたのだった。それを上手く加工して公開されれば僕だけを学園から追い出すことも可能だろう。
当然、僕が誰かとセックスしたことを渚に知られることにもなる。
「さぁ、状況を理解できたのなら謝罪してもらおうかしら」
静かな怒りをみせる真夜さんに、僕はいわれるままに謝罪した。
僕の必死の訴えによって、ひとまず怒りの鉾を収めてくれることには成功した。
その代償にベッドに座る真夜さんの前に全裸で正座させられる目にはあう。貞操帯が喰い込む感触には、やはり慣れそうにはなかった。
「事情は把握したけど、明日は普通に登校しなさい、これは命令よ」
「……はい、わかりました」
「それから、私の命令を破ったのは事実よね。ならば、ペナルティを受けてもらうわよ」
そう告げると彼女は残忍な笑みを浮かべてみせた。
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