淫獣捜査スピンオフ 双極奴隷たちの調教クルージング2'

【4】削がれていく反抗心

 そうして睡眠もろくに取れない状態が維持されて、連日で苦痛と快楽の責めがナナに続けられた。
 相手の心身を削り取っていく手段は、調教師として師でもある支配人によって伝授された拷問の術だ。
 軍歴のある彼は、それでゲリラや反乱分子の捕虜から情報を引き出し、二重スパイにするべく洗脳をしていた経験があるという。
 シオ自身もそれを体験しており、その有益性も身をもって理解しているつもりだ。
 これまでも練習も兼ねて何人もの女たちを性奴隷にするべく使ってきた技術だ。そこに感情が介在する余地はなく、ただ言われるままに作業してきた。
 
――それなのに今回ばかりは少し違った……

 ナナを相手にしていると心が妙にざわつくのだ。
 支配人による調教によって感情の起伏が乏しくなったといわれるシオには、それの原因がわからない。
 以前の自分ならば理解できたのかも知れない。それでも、今の自分こそが全てであり、記憶にある過去の自分というものがまるで映画の中の登場人物のようにまるで現実味がないのだ。
 それでもある人物のことを思い出す時だけ激しい憎悪に覆われる。それが表面化して暴走しないように感情に蓋をして過ごすようになっていたのだ。
 お陰で他の人には余計に感情の起伏がないように見えてしまっているのだった。

――まるでお人形さんね……

 ことある毎に絡んでくるナナによって抑え込んだ感情の表面にさざ波がたつ。
 それがどういった感情なのか今のシオにはよく理解でないのだが、こうやってナナを責めていると知らぬ間に笑っているようだった。

「なに間抜けな顔をしてる。少なくとも今までの貴女よりかはほんの少しだけど共感してあげられるわよ」

 そう告げられてから、責めるのにも自然と熱がはいるようになっていた。
 鞭を打ちつけて朱色の痕を刻み込んでいくたびに、心の奥から湧き上がる感情。それが歓喜であるのが今ではわかる。

(いつもは簡単に心が折れたり壊れてしまうから……)

 その点では、簡単には屈しないナナは最高の相手といえるだろう。
 憔悴しながらも相変わらず隙あらば悪態をついてくる。そんなナナを、以前には関心がなかったが、今では憎からずも思うようになっていた。
 今ではこのひと時を長く楽しまさせてくれていることに感謝するとともに、じっくりと堪能しているのだった。


 全身に媚薬ローションを塗り込まれたナナは翌朝になると、その身をボディストッキングで包まれていた。
 首の下から爪先まで半透明の薄いナイロン生地に覆われている。その状態で黒革のアームバインダーによって両腕は封じられているのだ。
 口元には顎が外れんばかりの大きさのゴムボールが噛まされており、穴あきのボールギャグとは異なり口を塞いでしまっている。
 早く口端からは涎が溢れ出し、シャーブな顎先から糸を引いて滴り落ちていく。
 だが、それにも動じずナナは正面にたたずむ下着姿のシオをジッと見つめているのだった。

「……ここまで……心が折れなかったのは……貴女ぐらい……」

 感情がのっていない呟きではあるが、それが素直な賞賛の言葉であるのはナナには理解できる。
 わずかにナナの目元が緩められるのだが、それもわずかな間のことだった。
 再び、調教を開始したシオが手心を加えるわけもなく、さらに苛烈になるのは目に見えていた。
 床へと転がされたナナの顔を、シオがストッキングに包まれた足で踏みつけてくる。顔をグリグリと踏みにじり、ストッキングで覆われた足裏を押してけてくるのだ。

「――うッ!? うぐぅぅ……」 

 途端に強烈にすえた匂いにナナは襲われていた。
 押し付けられたストッキングから異臭が放たれているのだ。
 ボールギャクで口を塞がれて息は鼻で吸うしかないところに、ストッキングを押し付けられているのだ。否応なくその匂いを嗅がされ続ける。

「げほッ、ごほッ、うえぇぇッ」

 もよおす吐き気に背を丸めるが、顔を踏みつけられては逃げることもできない。
 涙が溢れ出すのも止められず、激しく咳込んでしまう。

「……凄い……匂いでしょう? このストッキングに……見覚え……ない?」

 シオが身に着けているのはナナが愛用しているブランドと同じものである。正確には、彼女がシオを責めるときに口に噛ませたストッキングそのものであった。
 それを確保していたシオは洗わずに自らも着用して使用し続けていたのだ。お陰で匂いは悪臭といえるものにまでなっていたのだ。

「……今度は……こちらからお返し……してあげますね……」

 スルスルと素足から抜き取ったストッキングを、今度はナナの頭部に被せてくる。
 それは倍返しというには強烈過ぎるものだろう。たちまに激臭にむせ返ることになるナナは、ボールギャクによって垂れ流してしまう自身の唾液も加わりベットリと顔を濡れ汚してしまう。
 その不快さには流石のナナも耐えられるものではなかった。
 悶え苦しみ続けるナナ。その背中にウィンチのロープが括り付けられて彼女の身体を持ち上げられていく。
 完全に宙へと浮かせられたナナの足元には、新たに三角木馬が出現する。
 木馬といっても三角柱を横にしたモノに四本の脚がついただけの簡易なものだ。
 山となった頂点は鉄板によって補強されており、そこへ両脚を広げられたナナがゆっくりと下ろされていく。
 馬であれば鞍のあるべきところが、鋭角となっているのだ。当然、そのまま下ろされれば股間に角が押し付けられ、自らの体重で秘部にめり込んでいくことになる。

「うッ、うぅぅ……」

 ゆっくりと木馬の背に降ろされた。その食い込みによる苦痛を、少しでも弱めようとするには太ももで斜面を挟み込むしかない。だが、そんな彼女の足首に枷が追加で装着されていくのだった。

「……まずは十キロ……」

 枷には鎖で繋がれた鉄球が装着されている。それぞれ十キロの重量で装着された途端、ズンという衝撃とともに斜面を必死に挟み込んでいた両脚は伸ばされ、股間への食い込みが一気に増してしまう。

「うぐ――ッ」

 体重に加わって合計で二十キロの重さが追加されたのだ。
 痛みによって全身から汗が噴き出すが、それは全身を覆うタイツで受け止まられて、中でたまっては不快感を高めていく。
 そんな状態のナナに対して、シオが手にしたのは巨大なガラス製の浣腸器だった。
 内部にたっぷりと吸い込まれた乳白色の薬液を見せつけながら、苦しむナナへと語りだす。

「……少しゲームをしましょう……この薬液を浣腸されて三十分耐えてみせて……失敗すれば、罰を与えます……」

 淡々とルールの説明をはじめるシオであるが、もちろんナナに参加を拒否する権利など与えられない。
 ナナに言い聞かせているのではなく、カメラを通して視聴している豪田らに対する説明なのだ。
 これを受けて紫堂と豪田は、ナナが何分まで耐えられるか賭けをするといった余興を嬉しんでいるのだ。

「うッ、くぅぅ……」

 手早く浣腸液が注入されてゲームが開始される。
 シオがまず手にしたのは一本鞭だ。その鞭捌きの妙技はすでに披露済みだ。
 秘部への食い込みを減らそうと必死に斜面を挟むこむ太ももを打ちつけ、無防備に突き出されている双乳へと痛烈な一撃を加えてみせる。

「ぐふぅぅッ」

 全身タイツで覆われているのは救いにもならない。衝撃は薄い素材を貫通して骨身まで響き渡る。
 それでも耐え続けてみせるナナも大したものだろう。どうにか半分の時間まで耐えきってみせた。

「……それでは、ご褒美……重りを追加してあげます……」

 足首に吊るされた鉄球が倍に増やされた。片足十キロの計二十キロが追加されたのだ。

「ほごぉぉぉぉッ!!」

 グジュリっと鉄のフチが食い込んだ秘裂から液体が溢れ出す。続いてチョロチョロと流れ出したのは小水だ。
 無様にも失禁してしまい、愛液混じりの小水がタイツの中に溜まっていった。
 全身を覆うタイツの中に充満する異臭にアンモニア臭まで加わり、羞恥で耳まで真っ赤に染めあげるナナの姿は、普段がクールな雰囲気を漂わせているだけに無惨さが一層引き立ていた。
 そんなナナにさらなる試練が襲う。腸内に注ぎ込まれた薬液が効果を発揮して、激しい便意に襲われるのだ。
 ゴロゴロという腸鳴りを響かせて引き締まった下腹部ウネリをあげる。冷や汗を吹き出しながら耐え難い腹痛に眉をひそめ、無意識に上体が前のめりになっていた。
 それでも湧き上がる排泄欲求に尻を窄めながら必死に抗ってみせるのだ。
 無防備に突きだす形となったヒップへと、無慈悲な鞭の連打が降り注ぐ。
 連日の調教によるダメージもひかないところへの鞭打ちだ。それに加えてにじみ出た汗を吸い込んだストッキングが傷口に擦れて追い打ちをかけてくるのだ。

「……あと五分……」

 告げられた残り時刻だけが頼りだった。朦朧とする意識の中で必死に耐えてみせるのだ。

「……流石です……貴女には敬意を……払いましょう……」

 新たにシオの手に持たれた鎖。その先に繋がる新たな四つの鉄球に目を見開く。

「ひゃ、ひゃめ……むひひょ……」

 追加で装着された鉄球の重さ――四十キロが一気に加わった。
 倍の重量によって引き伸ばされた脚はピクリとも引き上げられない。股間を引き裂くような衝撃がナナを襲い、陰核が鉄板との間で押しつぶされていった。

「むぐぅぅぅぅッ」

 身体が仰け反り、声にならない悲鳴が室内に木霊する。
 涙を浮かべた眼は天井を見上げたまま見開かれていた。

「……苦痛と快楽が混同したまま……派手に逝ったみたい……」

 ピクピクと震えていた身体の硬直が解けた。その直後、ナナの肛門は決壊を迎えていた。
 浣腸のために開けられたストッキングの穴から濁流となった排泄物が流れ出してきた。
 すでに限界を迎えていたナナは排泄にむせび泣きながら、ガックリと頭を垂れて意識を失うのだった。


 指定した時間まで排泄を我慢できなかったナナ。彼女に下された罰は二十四時間の放置責めであった。
 グッタリと意識のないままの彼女は、ボールギャクとアームバイダーを装着したままだ。全身タイツも脱がされずそのままの姿で立ったまま吊るされていた。
 爪先立ちになる状態までウィンチで引き上げられると淫具が装着されていく。
 秘裂へと大量の媚薬ローションが注ぎ込まれると蓋をするようにバイブレーターが押し込まれる。
 陰核に押し当てられた電動マッサージ器が太ももで挟み込むようにして幅広のベルトで固定されていく。
 さらに左右から電動クリップで乳房の根元を挟み込むと、仕上げに乳首を分銅つきの鰐口クリップで押し潰していった。

「うッ……うぅ……ふぐぅぅぅッ」

 電源が入れられた途端、拘束されたナナの身体が跳ねた。強制的に覚醒させられ彼女にシオが語りかける。

「……二十四時間、このまま放置が罰……まだ媚薬の効果も残っているから……刺激は抑えめ……」

 そう告げると、宣言通りにふたたびナナを放置する。
 確かに装着された淫具の出力は弱かったが、それが追加で塗られた媚薬が浸透してくる肉体には逆にこたえた。
 ジンワリと身体の内側から灯りはじめた官能の炎が次第に強い刺激を求めてくるからだ。
 ランダムで出力が変わる淫具に翻弄されて、拘束されたナナの身体が悶えさせられる。
 ギシギシとロープを軋ませて吊られた身体が揺すられるたびに乳首のクリップに繋がった分銅が激しく揺れてしまう。

「うぐぅぅッ……ふぅ、ふぅ……」

 無惨に引き伸ばされた乳首が左右に捻られて苦痛と愉悦が交わった呻きをあげてしまう。
 だが、与えられる刺激では絶頂を迎えるには至らない。弱する刺激では身体が求める要求を満たせはしないのだ。逆に、より一層肉悦への渇望が激しくなってしまい、ナナはそれに苛まれることになるのだった。
 それに加えて使用済みのストッキングと体臭による匂いも強烈だった。
 新たに分泌する体液も加わり全身を包む全身ストッキングの中に匂いが籠もる。その鼻を摘みたくなるような悪臭が快楽に浸るのを阻害してくるのだ。
 お陰でますます疼きは強くなる一方で、ナナを二重に苦しめていくのだった。

「くぅ……うぐぅ……ふぅ、ふぅ……」

 吐き気と眠気、そして逝くに逝けないもどかしさがグルグルと駆け巡る。
 そんな状態では眠るどころか、まともな精神状態を維持することも不可能だろう。
 度重なる激しい調教と睡眠の剥奪によって常人なら発狂してても不思議ではない状態にナナは追い込まれていった。


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