気高き牝奴隷が抗い続けた果てに……
【3】助けられ、そして貶められるモノ
その後、瀬里奈が連れて行かれたのは首都にある国立の総合病院だった。
軍事政権は海外から工場など融資するために外資系企業には様々な優遇を与えていた。外資によって最新の医療器具が揃えられたこの病院もそのひとつで、一般の市民は敷地に入ることも許されない場所なのだ。
そこで国賓並みの待遇を受けた瀬里奈は疫病などの検査を受けるとともに衰えた肉体の回復に務めることになった。
その際に額に刻まれた刺青も皮膚移植によって綺麗に除去されると、以前と変わらぬ容姿を取り戻すことができた。
だが、もちろん紫堂は慈善家などではなく、善意で彼女を助けたわけでもなかった。彼なりの目論見があるのだが、それは瀬里奈が退院するときに明らかになる。
病院からリムジンに乗せられた彼女はアイマスクで視線を塞がれると、いずこかへと連れていかれた。
車を降りるとヒンヤリとした空気が頬を撫でる。そのまま目の見えぬままに手を引かれて、硬い床をカツカツとヒールを響かせて歩かされていった。
「さぁ、到着だ」
アイマスクを外されて、暗闇に慣れた目が明るさに目を眩ませる。
ようやく視界を回復させた彼女がみたのは、錆の浮いた鉄扉に閉ざされた窓もないコンクリート壁の部屋だった。
周囲には用途もわからない機器がならび、壁や天井のみならず床にもパイプや無数のケーブルが這い回っている。
さらに奇妙なのは正面に置かれた物だ。台座に載せられた二メートル四方の透明な立方体。その中にメカニカルな様相の椅子が設置されているのだ。
不穏な空気に顔をしかめた彼女は、足元にこびり付いた無数の染みが乾いた血であるのに気づいた次第に表情を引きつらせていく。
「こ、こんな場所に連れてきてどういうつもり?」
紫堂に気を許したつもりはなかった瀬里奈だが、病院で厚い介護を受けるうちに気が緩んでいた。
連れ込まれた部屋の雰囲気から怨念めいたものを感じて後退ってしまう。
そんな彼女の反応も折り込みずみなのだろう。乾いた笑みを浮かべて冷酷な事実を述べる。
「忘れているようだが、お前の身柄は私に売り渡されているんだよ……これでね」
懐から取り出したバハマ産の葉巻を見せつけてから、優雅に吸いはじめる。
ほのかに甘みを感じさせて、それでいてスパイシーなアロマのある香りが周囲に漂う。
だが、タバコ嫌いである瀬里奈は目の前の煙を手で払うとギッと紫堂を睨みつける。
自分が売り払われた値段がその葉巻一本であることを思い出したのだ。
「あぁ、いい顔だ。テレビ越しで見ていた澄まし顔より数万倍も好みだよ」
プライドを酷く傷つけられて憤怒の表情を浮かべる瀬里奈に、それこそが彼女の本性だと紫堂は告げる。
「相手が悪人だから殺した? いや、違うだろう。お前はプライドを護るためなら平気で人を踏みにじれる人間だよ」
「馬鹿にしないでッ、そんなことはないわよッ」
「否定をするのは自由だが、あんまり私を落胆させないでくれよ。これでも結構、お前のことは気に入ってきてるんだ」
そう口にした紫堂は部下に調べさせた瀬里奈の身に起こった事を正確に把握していることを教える。
それが事実なのは、彼女の巧妙な手口によって政界の重鎮が亡き者のされ、場合によってはその罪によって他者が報復をうけていた可能性まで告げられて事実だと認めざるおえなかった。
「実に見事なものだな。予想外な闇業者の介入がなければ完全犯罪になりえたかもしれないな。その相手を恐れず抗おうとする姿が実に唆られるよ」
ねっとりした視線で身体だけでなく心まで視姦されるような気持ち悪さに、おもわず瀬里奈は肩を抱いていた。
「だから、ぜひ俺のモノにしたい」
「なに? 貴方も跪いて靴でも舐めさせようっていう魂胆なの?」
「いいや、そんな上辺ではなく求めているのは心からの隷属だな。まぁ、その前にその顔が泣き叫んで赦しを請う姿を見てみたくはあるがな」
「……ふ、ふざけないでッ」
紫堂の言葉に自分でも驚くほど瀬里奈は落胆していた。
その理由を理解するまえに、沸々と湧き上がる激しい怒りに心が染め上げられる。
感情のままに走り寄ると手を高々と振り上げていた。そのまま掌を相手の頬へと振り下ろそうとするのだ。
だが、その一撃は脇から伸びてきた腕が手首を掴んで当たる寸前で静止させてしまう。
いつの間にか女がすぐ脇に立っていた。紫堂と一緒に乗っていた輸送機に同乗していた紅蓮と呼ばれていた女だ。
「――えッ!? どこにいたの?」
目隠しを外された際に室内にいるのが紫堂だけなのを確認していた。
入口は硬く閉ざされた鉄扉がひとつだけ。それも入室する際に激しく擦れる音を響かせていたから、誰かが後から入室すれば嫌でも気付く。
室内には身を潜めるほどの窪みもない状態で、透明にでもならなければ隠れることはできない。
そんな状況に混乱しつつもそれでも瀬里奈は掴んできた手を振り払おうと試みる。
しかし、その手はまるで空中に固定されているかのようにピクリとも動かない。濃いサングラスをかけた女からは感情も読めず、まるで彫像を相手にしているかのようだった。
「無駄に動くな、手首がヘシ折れるぞ」
抗う瀬里奈にハスキーヴォイスで忠告してくると、そのまま彼女の腕を背後でねじ上げて抵抗できなくしてしまう。
そのまま首元も押さえられると、脳への血流を止められて呆気ないほど簡単に気を失うのだった。
瀬里奈が目を覚ますとあの透明な立方体の中に全裸で閉じ込められていた。
中心に設置された椅子に手脚を幾重ものベルトによって指まで固定されているのだった。
試しに身体を動かそうと足掻いてみるが、ミチミチと革が軋む音を響かせるだけだ。
周囲には人の姿はなく、大声で助けを呼ぼうとして踏みとどまる。
ここまでして助かるような間抜けには紫堂が見えなかったのだ。
絶望的な状況に思わず不安になりそうな心を鼓舞するように現況を作りだした人物を思い出す。
民間軍事会社と組んでゲリラを血祭りにあげた光景を見せられてようやく当人が言うように犯罪組織の幹部だというのはようやく信じていた。
「なにを考えているのよ……あの男は……」
アナウンサーとして数多くの人物と接してきた瀬里奈だが、紫堂のような読めないタイプははじめてだった。
大病院で政府要人並みの手厚い治療を受けさせてくれたおかげで衰弱していた身体も回復していた。
その上、見るたびに惨めな想いにさせていた刺青まで消してくれたのだ。
紫堂は信用のおけない人物として警戒していた瀬里奈でも、そこまで手を尽くしてくれれば心をゆるめようと思いもする。
だからこそ、再び拘束されて自由を奪われた身に戻された現状が理解できないのだ。
「忘れているようだが、お前の身柄は私に売り渡されているんだよ……これでね」
気を失う寸前に紫堂から告げられた言葉には大いに失望させられた。
「所詮はあの男も同じなのか……」
モノとして扱われて強者によって不条理な状況へと追いやられる。そのことへの怒りが身体の中心から沸々と湧いてくる。
『そうだ、その表情が見たかったよ』
どこからともなく紫堂が聴こえてきた。気配がないことから遠隔でスピーカーから流れた声なのだろう。
「顔ぐらい見せなさいよ、臆病者」
『はははッ、あの映像で私が人の死に眉も動かさない極悪人だと知っても、まだ悪態をつけるとは素晴らしいね』
「褒めてくれるなら、ついでに自由にしてくださらない?」
『生憎、ちょっと私も多忙でね、しばらくはリモートワークで愉しませもらうよ』
忙しいのは事実なのだろう、紫堂の背後では慌しく人が動く気配が読み取れる。
恐らくあのゲリラ施設を襲撃したように他の組織と揉め事をこなしているのかもしれない。
紫堂という男は幹部でありながら、どうやらスリルを感じずにはいられない性分なようで前線に立ちたがるのだとようやく理解しはじめた。
だからこそ爆弾が降りそそぐ場所を駆け抜けたり、単身でゲリラの巣窟に乗り込んでくる無茶なこともできたのだろう。
「段々と貴方のこともわかってきたわ」
「へぇ、なら今の自分の状況をどう分析する?」
瀬里奈が同期に先んじて看板番組を持ちえたのは、その人に対する嗅覚の鋭さのおかげだろう。
漠然とではあるが相手の欲している事がわかり、誰からも愛される清純派アナウンサーとしての姿を確立できたのだ。
不安も恐怖もまだ消えない。潤んでしまう瞳でカメラがあろう方向へと視線を向けると、心を奮い立たせてキッと睨みつける。
『凄いな、全てが演技というわけではないのだろうが、この私でもグッとくるものがあるよ』
「えぇ、実際にはもっと腸が煮えくり返ってるわ……貴方、わたしを屈服させたいのね」
瀬里奈の返答に、マイクの先にいる紫堂が笑みを浮かべたのが気配でわかる。
何人もの嗜虐者たちに弄ばれてきた瀬里奈には、知的で澄ました顔に浮かぶ残忍な笑みが見えずとも容易に想像できた。
「プライドを高い女を自分こそは屈服させてやりたい……随分と子供ぽくってゲスな感情だわ」
『あぁ、よくわかっているじゃないか』
はじめは清楚で大人しそうな瀬里奈の外見に、男たちの支配欲を掻き立てるようだ。
昔からそうだった。学生時代も男たちはお姫さまのように大事に扱い自分のモノにしようと近づいてくる。だけど、いざ恋人になろうものなら自分だけのモノにしようと囲い込もうとする。
他の男と接すると嫉妬して、優しかった相手が狂うさまは気持ちの良いものではなかった。なによりも独立心の強い瀬里奈にとって、自分の行動を制限されるのはたまらなく嫌だった。
別れた相手がストーカー化するのも珍しくなく、まともな恋など学生時代にすでに諦めていた。
だから帰国してからは固定の恋人はつくらずに、自らの立身のために肌をあわせるのに利用することにした。
上司である局長とは長く続いた方だったが、それも彼が妻子ある身であり自らの保身が上手く働いてくれたおかげだろう。
それも紀里谷 修造(きりや しゅうぞう)という政界のフィクサーの目に止まったことで終わりをつげた。
彼に連れられて訪れた高級マンション。そこで待ち構えていた紀里谷によって瀬里奈は有無を言わさず犯された。
助けを求める瀬里奈に背を向けて退室していく彼の姿に、ようやく売られたのだと理解させられる。
そのまま監禁され、その間は彼の手回しで病気療養という名目でお茶の間から姿を消していた。
それからは奴隷調教と称して数々の変態行為を強要されて屈辱的な日々を過ごすことになるのだった。
「えぇ、嫌というほどにね」
紀里谷には反抗心のある女を犯すのを好む性癖があった。
その為に瀬里奈の心を折りきらず、逆に反抗心を掻き立てるような調教の合間に仕向けてきた。
人前での排泄やまるで動物のように飼われるなど、プライドの高い瀬里奈には屈辱的な行為にさらされた。
そうした姿を映像に残され、ことあるごとにそれを見させながら何度も犯されるのだ。
悔しさに涙を浮かべながら睨みつける行為は相手を悦ばせるだけだとわかっていた。それでも止めることは出来なかった。
ある意味、瀬里奈の異常なまでのプライドの高さを育てたのはその紀里谷という男かもしれない。自ら育てた憎悪によって殺されたのであれば自業自得ともいえる。
プライドを傷つけられて憤辱の炎に心身を焦がしながらて何度も逝かされたことを思い出してしまう。
『そこまで理解しているのなら、頑張って抗ってくれることを私が望んでいるのも理解しているね」
バンッと室内の残りの照明が点灯して部屋の全貌が身に入る。壁や床にケーブルや配管が走り、それが繋がる機器には稼働を知らせるランプが点灯している。
『前の政権が拷問や人体実験に使ってた施設らしくってね、面白そうだから放置されてたのを改良してみたんだよ』
周囲を囲むように強化ガラス。その閉塞感に窒息を心配していたが、どうやら普通に呼吸する分には問題はなさそうだった。
向けられた強力なライトの光に目を細めながら、見える範囲だけでも観察を続ける。
足元と天井にハッチらしき金属の蓋がみえる。把手もなく内側から開けることは難しそうだ。
そんな中にゴテゴテと機械じみた造りの奇妙な椅子に瀬里奈は拘束されているのだった。
『誰でも気軽に人をいたぶれるように開発された特別な椅子だそうだよ』
「随分と悪趣味な話ね」
クーデターによって倒された前政権は王族による統治国家だった。その権力の維持のために反抗的な思想を根絶するための拷問や洗脳が平然と行われており、この施設もその名残なのだった。
『ボタンひとつで生爪を剥がし、指をへし折り、切り落とすこともできるそうだ』
人をいかに殺さずに壊していくか、そのために開発された拘束椅子の機能を楽しそうに紫堂は説明していく。
それらが自らの身に使用されるのを想像して瀬里奈は寒気で肩を震わせてしまう。
(だめよ、こんな男を悦ばせてやるもんですかッ)
ギュッと下唇を噛みしめて気丈にも正面を睨みつける瀬里奈だが、彼女から恐怖が消え去ったわけではない。
拘束された身体が恐怖で震えてしまうのは止めることができないのだ。
『あぁ、良いね。やっぱりそういう反応はグッとくる。紅蓮で試した時は拷問への耐性がありすぎて実につまらなかったからね』
『それは悪かったな……作戦中に遊ぶのは構わんが、もう少し静かにやれ。他の兵士たちの気が散って迷惑だ』
『あぁ、それはすまない』
紫堂の言葉に割り込む声があった。どうやら彼の側にあの女性がいるようだ。
随分と親しいふたりの空間が少し気になってしまう。
『怒られてしまったので、しばらくはひとりで愉しんでくれ』
「――えッ、なにを、ちょっと……」
一方的に通信は切られてしまい、いくら問い掛けても返答はなかった。
再び静寂が訪れるかと思ったが、すぐに椅子の各所からモーター音が響きだす。
下を覗けば脚の間から一本のアームが上ってきて丸まった先端を股間に押し当ててくるのが見えた。
「な、なにコレって――ひぃッ」
直後、先端の球体が細かく振動を繰り返しはじめ、そのまま股間に押し当てられる。陰核に与えられるバイブレーションの強烈さに瀬里奈は反射的に顎をあげてしまう。
彼女の身に起こったのはそれだけではなかった。座面の一部が丸く下へ引っ込むと中から二本の突起がせり上がってきたのだ。
その一本が秘唇に押し当てられた。先端からトロトロとローションを噴き出しながらグリグリと回転しながら突き上げてくるのだ。
すでに陰核への激しい刺激でトロリと愛液で膣洞は濡れ始めており、そのドリルの進行を止めることもできない。
「あ、いや、ぐぅぅ……だめ、だめよ」
徐々に体内へと侵入してくる突起の衝撃にギシギシとベルトを軋ませて身を捩らせる。
ここに至って瀬里奈はこの椅子に施された紫堂の改良がどういうモノなのが理解させられていた。女を辱めて犯すための機能を搭載させているのだ。
程なくして上下運動を開始した突起の動きは、バイブレーターのそれだった。
収束していた膣洞をこじあけて、膣壁を抉るようにして上下運動を繰り返す。
久々に受ける刺激に、調教によって開発され尽くされた肉体はすぐに反応をしめしてしまう。
「くぅ、嫌なのに何でこの身体は……あぁぁン」
心では異常な状態だと理解して拒もうと思っても、肉体は刺激に歓喜して膣奥へと招き入れてしまう。ギュウギュウと強く締め付けて脳が痺れるような快楽を生み出してしまうのだった。
この国に連れ込まれて数カ月、男たちの欲望を寝る暇もないほど受け止めさせられた。穴という穴にザーメンを注ぎ込まれる生活の日々に、調教で開発されていた肉体は容易に馴致してしまった。
チンポ狂いにさせられるような日々の中で理性を保てていたのは彼女のプライドの高さのお陰だろう。どうやっても生き延びて元の生活に戻ろうという彼女の渇望が、ギリギリのところで精神の崩壊を防いでいたのだ。
それでも、その生活があと数か月も続けば精神の崩壊は免れなかっただろう。民間軍事会社による襲撃を運よく逃れられた件といい、そういう意味では紫堂がいうように瀬里奈は強運の持ち主なのかもしれない。
「ち、違うッ、こんなのは、あぁン、求めてなんか――うぅぅ、いないわ」
膣奥から掻き出された愛液がポタポタと床へと滴り、噴き出た汗とともに足元に溜まっていく。
その量は増える一方で、彼女の肉体は与えられる快楽によって確実に昇りつめていった。
「あッ、あぁ、ダメッ、ダメよぉ……」
髪を振りたて叫ぼうとも彼女を責める機械は止まるはずもない。無慈悲に淡々と与えられ続ける刺激によって、彼女の恐れているものはやってきてしまう。
「くぅぅ、い、いやぁぁぁッ」
顔を紅潮させてひと際大きく息んだ瀬里奈は、激しく身を反らせるとガクガクと拘束された裸体を震わせる。
ついに絶頂を向かえてしまったのだ。顎を仰け反らせて硬直していた全身が弛緩する。そのまま全身を椅子に預けガックリと首を垂れる。
フーフーッと荒々しい息遣いに彼女の激しい絶頂ぶりがうかがえる。
だが、その余韻がおさまらぬうちに機械は無慈悲にも動作を再開する。
「あぁ、まって、今はまだ敏感だから――ひぃぃッ」
感度を増している肉体は絶頂以前よりも快楽を生み出してしまう。容赦ない責め立てに涙まで流す瀬里奈だが、そこに新たな責めが加わってくる。
待機していた二本目の突起はせり上がってきたのだ。肛門に押し当てられる気配に表情を強張らせる瀬里奈だが、アナルも開発済みな彼女の肉体はやすやすとドリルのように回転する突起の侵入を受け入れてしまうのだった。
「うひぃぃッ、な、なにぃ!?」
括約筋を押し広げ、腸壁を削りながら突き上げてくる突起。さらに深々と侵入を果たすと先端から薬液が注入されてくるのだ。
次々と注ぎ込まれてくる液体の感触に瀬里奈は鳥肌をたてながら背を震わせる。
浣腸はプライドの高い彼女がもっとも嫌う行為だった。
はやくも薬効が効きはじめて下腹部からゴロゴロという腸鳴りが響き出して、激しい便意に襲われる。
だが、突起によって貫かれた状態では思うように排泄できるはずもない。そのまま終わりのない便意に苦しめられることになるのだ。
「うぅン、こ、こんなの嫌よぉ――あはぁぁぁン」
苦痛と快楽に苛まれながら、気丈な瀬里奈も確実に追い詰められていく。
意識を混濁とさせながらなすすべもなく再び絶頂へと昇らされていくのだった。
「ひッ、ひぃぃッ、逝くッ、逝っちゃうぅぅぅッ」
二度目の絶頂はさらに激しいものとなった。ガクガクと腰を震わせて潮まで吹いてしまったのだ。
股間から放たれた透明な液体がきれいな放物線を描いて床で飛沫をあげる。
それを追うように肛門を蓋していた突起もゆっくりと抜かれていくのだった。
「――え、う、嘘、あぁぁぁン、ダメぇぇぇッ」
阻もうにも絶頂によって身体は脱力しきっていた。ズルリと抜かれる突起の感触が痺れるような刺激を走らせ甘い声を洩らさせる。
すぐさま濁流が口を閉じぬ菊門から噴き出して、瀬里奈を絶叫をあげさせた。
悲痛な叫びを打ち消すように放屁が響き、続いて液状化して薬液と混ざり合った粘便が床で飛沫をあげる。
「うぅぅ……嫌、嫌よぉ」
ようやく液体の放出が終わると形を残している固形物がボタボタと排泄させられてくるのだった。
度重なる調教でも望まぬ排泄に慣れることはなかった。今尚、恥辱に身を震わせてプライドの高い心を激しく傷つけられる。
涙を流して悲観にくれる瀬里奈が、潤んだ瞳で睨みつけてくるのを彼女の主であった紀里谷は大いに喜んだものだった。
紫堂がどんな表情で傍観しているのか見えない状態だが、さぞかし愉しげな表情を浮かべていたことだろう。
見えぬ姿を想い浮かべて、瀬里奈はカメラを見つめながらギリギリと下唇を噛みしめて血を滴らせるのだった。
それが彼女にできる精一杯の反抗だった。
それも、次の責めが始まるまでだ。責めが再開されるとその余裕すらなくなり、悶え泣くことになってしまうのだった。
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