年下の彼女はツインテール(バッドエンド2)'

【4】お仲間が増えたのは嬉しいです

 学校の近くで合流した唐木田さんは、こんな騒動に巻き込まれたにしては思いのほか落ち着いていた。
 陸上部のエースであり、ボウイッシュな風貌から男子だけでなく女子にも人気の王子様だ。
 ノノの手を握りしめると笑みを浮かべて何気ない会話をしているのだが、その姿が実に絵になる女生徒だった。
 気のまわる子だから健気にも元気な姿を見せて、彼女なりにノノの心の負担を減らそうとしているのかもしれない。
 だから、彼女の目の下にも隈ができているのに気づかないフリをした。

(それでも、取り乱さないだけ、たいしたものだよな)

 少し前まで会社を潰されようとしている両親のために、大企業の経営者に自ら身を差し出して凌辱の日々に耐えていた彼女だ。
 良いことではないが、俺と同じくこういうトラブルに耐性ができてしまっているのだろう。

(それに、今回はノノも一緒の境遇だからな)
 
 不幸の渦中からノノに助け出されてからは、ふたりは親密な仲になっていた。
 買い物やお互いの家に遊びにいくなど、今ではノノに日常の愉しさを教えてくれる貴重な存在となっていて俺も感謝していた。

(ただなぁ、たまに垣間見えるノノに向けられる熱い視線が気になるんだよなぁ)

 ノノに絡みつくようなネットリとした視線をしている時があるのだ。
 今もノノの腕に寄りかかり並んで歩く姿は、親友としての普通な接し方にしては親密すぎる気がした。

(とはいえ、ろくに友達のない俺の感覚だからな、案外、女子はこんなもんなのかも知れないけど……)

 俺からすれば、ノノが嬉しそうにしているなら、他のことは無視できる些細なことなのだ。

「先輩ーッ、なに、ボーッとしてるんですか、もぅ着きましたよぉ」

 考え事をしているうちに、目的地に到着していたらしい。十字架が掲げられた建物の前でノノがピョンピョンと跳ねている。
 お陰でただでさえ短くしているスカートが舞って、下着が見えそうになっている。
 すかさず唐木田さんがスカートを手で押さえて周囲を警戒する。俺も反射的に動いて身体で壁をつくると反対側を見渡すが、幸いなことに周囲には見ていた者はいないようだ。

「大丈夫ですよぉ、周囲の視線はありませんでしたから」
『確信犯かよッ!!』

 あっけらかんと言うノノに俺と唐木田さんが同時にツッコミを入れる。
 その息がピッタリな様子がツボだったのだろう、ツインテールの少女は腹を抱えて笑うのだった。


 住宅地の片隅にひっそりと建つ古びた教会が目の前にあった。
 わずかばかりの庭に、五十人ほどで満杯になるような小さな礼拝堂が建ち、その裏手には関係者用の古びた平屋があるだけの質素な施設だ。

「お待ちしておりました」

 正面にある扉の前に立つと、待ち構えていたように内側から開けられた。
 恭しく頭を下げて出迎えたのは、あの金髪碧眼の美少女シスターだった。
 その向こうには、ステンドグラスから射し込む光の中、祈りを捧げる黒人シスターの後ろ姿もあった。

「驚いたな、偽装でのシスターじゃなかったのか」
「今じゃ、こっちが本業さ。アンタらと同じく栓をさせられて協力させられているって訳さ……何なら証拠にアタシのも見てみるかい?」

 俺の呟きに祈りを中断したシスターは振り向くとニッと白い歯をみせてくる。

「いや、いいよ……」

 修道服の下には鍛え抜かれた褐色の肉体がありそうで、思わず想像してゲンナリとしてしまう。
 そんな俺の様子を愉快そうに眺めて彼女は裏手の平屋へと俺たちを案内する。
 昭和からありそうな古びた外観とは違い、内部は綺麗にリホームされていた。
 畳の間をフローリングに改装された六畳間のリビングにオープンキッチンを併設させて、三つの個室を備えた3LDK……秘密結社の工作員がいるにしては質素な施設だろう。

「さて、最初にことわっておくけど、生憎だけどアタシらも結社にとっての駒のひとつにしか過ぎないからね」
「それでも、俺らよりは情報を持っているだろう? なんでも良いから知ってることを教えてくれ」

 頭を下げる俺にならってノノも隣で真似をする。唐木田も渋々ではあるが従ってくれる。

「まぁ、別に話すのを禁止されてる訳でもないしね。ただ、あまり期待はしないでおくれよ……」

 そう言いながらも、彼女――シスター・ショコラは語ってくれた。
 結社というのも、裏の世界の通称であり組織の実態や規模どころか正式名称や目的すらも不明だという。
 彼女らのように肉体に何らかの施しをされた人間は『端末』と呼ばれ、正体不明の『中枢』からの指示によって活動をしているらしい。
 指示は主に端末にメッセージで送られており、その指示に従って各自が行動するというわけだ。

「その指示っていうのが、妙に具体的でね。分刻みで行動が指定されているのさ。先日の訪問も時間や行動内容が細々と指定されてたのさ」

 そのメッセージを見せてもらったが、驚くことに訪問時刻、滞在時間、あの会話の内容、そして、俺が逃げ出すことまで記載されていた。

(だから、入れ替わるようにノノが帰ってきたのか……目的は俺を足止めしているというよりも、事前に説明させているようだったよな」

 まるで決められた筋書き通りにタイムスケジュールが切られているようで、言いようのない不気味さを感じてしまう。
 顔を強張らせる俺の考えを肯定するかのように、シスター・ショコラは頷いてみせた。

「アンタが感じているのと同じものをアタシもずっと感じているのさ。何もかも見透かされて掌で踊らされてる気分さ」

 そう語ってみせた彼女も元はジャーナリストとして活動していたが、ノノと同じ処置をされた後に六年前からこの国でシスターのマネ事をさせられているという。
 彼女自身も結社や中枢を調べようと何度も挑んだらしいが、残念ながら目ぼしい成果は上がっていない。
 だが、中枢を探ろうとすることで消されたり、罰を受けることがないのを聞けたのは幸いだった。
 中枢が関心をもつのは、端末が指示通りに行動するかだけなのだという。

「いうなれば、アタシらはネットワークに組み込まれた端末部品に過ぎないわけだね」

 そう語ってみせた彼女は自虐的な笑みを浮かべてみせる。

――♪

 ちょうどその時だ。シスター・ショコラとシフォンの端末がメッセージの着信を知らせた。

「これって……」
「ふぅ、やはりね。アンタらがアタシの元に来ているのも中枢は把握済みってことだね」

 メッセージには、シスター・シフォンに『排泄許可ヲ与エル』とともに、その様子を来訪者の三人に見せるように指示が記載されていた。
 排泄許可の下には数字は記載されており、徐々に減っていくのが見える。それが時間制限があるものだと教えてくれた。

「えぇ、そんなぁ、また見せるんですかぁ」
「拒否しても良いけど、あとで後悔するのはお前さんだよ」
「うぅ……わかりました……」
「なら、アンタらもついてきな」

 ガックリとうなだれるシスター・シフォンを無視して、連れて行かれたのは隣の部屋だ。
 家具らしき物もない殺風景な六畳ほどの空間に奇妙な椅子だけが置かれている。
 外観をイメージしやすいのは高級マッサージチェアだろうか、SFじみたカプセルのような外装の中には全身を包み込むようなシートが備えられている。

(蓋が閉じられて密閉されるのかな? しかし、座席にある穴はなんなんだ?)

 座面部分にふたつの穴があいており、ちょうど座った股間に前後する位置にあるのだ。

「さぁ、準備はできたかい? 時間が勿体ないから、さっさとはじめるよ」
「うぅぅ……」

 チラチラと俺の方を見ていた美少女シスターだが、決心をつけると身につけていた修道服を脱ぎ捨てる。
 黒いガーダーストッキングに、お揃いのブラジャーを身に着けただけの姿になったのだ。

「な、なに裸になってるの、この人ッ」
「わぁ、透き通るような白い肌でキレイぃ、お人形さんみたいですッ」

 突然のことに戸惑う唐木田さんに、感動で目をキラキラさせているノノ。
 彼女らから異なる意味の視線を浴びて、恥ずかしそうに身体を縮ませながら、残りの下着も脱いでいく。
 どうやら、このために俺の視線を気にしてたらしい。なるべく視界に入れないように俺は視線を逸らせた。

「まったく真面目だねぇ、減るもんじゃないし、もっとしっかり見てやんなよ。綺麗なもんだろ?」
「いやいや、流石にね」

 俺が戸惑っている間に、シスター・シフォンは衣服を脱いで全裸になるとシートへと座っていた。
 閉じられるカプセルの中で酸素マスクを装着すると華奢な裸体が黒いシートに埋もれるように包まれていった。

「うわ、フカフカでちょっと気持ち良さそうかも」

 場違いな脳天気な感想に唐木田さんは苦笑いを浮かべ、シスター・ショコラは口元を綻ばせる。
 特にシスターがノノを見つめる眼差しは、幼い子供を見守る教師のようだった。

(緊張で強張っていた友達を安心させようとした……って訳ではないよなぁ)

 恐らく素での感想であろうノノに、俺も肩を竦めてみせる。

――プシューッ

 肘置きや脚置きに載せられた四肢が包み込まれて拘束されると、次の瞬間にはシスター・シフォンは身体を仰反らせて呻きをあげていた。

「あッ、あぁぁぁッ」
「ど、どうしたんだ?」
「安心おし、ほら、そこのモニターに状況が表示されているよ」

 どうやらシートに埋め込まれた機能によって、肛門に咥えこまされた排泄管理栓が解錠されたようだ。
 シートに空いていた穴はこのためで、底面が開口して開きぱなしになっている肛門へとノズルが挿しこまれていた。
 そこから大量の浣腸液が勢いよく注ぎ込まれているようなのだ。

「排泄管理栓はこのユニットでしか解錠できないし、排泄は許可されていないのさ、あぁやって浣腸をされて排泄した後は、隅々まで体内を洗浄されるんだよ。その間に排泄管理栓への充電など必要なことすべてがオートメーションで行われるわけさね」

 そう言っている間にも薬液を注入されたシスター・シフォンのお腹がグルグルと腸鳴りをはじめていた。
 排泄許可栓によって肛門を窄められず、堪えることも出来ずに排泄が開始される。

――ぶぅッ、ぶぶふぅぅッ……

 どうやら消音機能は高くないらしく、響き渡る放屁の音に、俯いた少女の顔がますます赤くなっていく。

「今回は期間が長めだったからね、随分と溜め込んでいたようだよ。まぁ、密閉されているから消臭機能はバッチリだよ」

 そう言われても流石に排泄している姿を観察されるのは精神的にキツいだろう。
 昨日に続いて俺に痴態をさらすことになった彼女には同情したくなる。
 だが、排泄していくに従い、羞恥に歪んでいた可愛らしい顔は、すぐに恍惚とした表情へと変わっていった。

「困ったことに、我慢させられた期間が長いほど苦しくもあるが、開放されたときは気持ちよくってね。慣れてくると皆があぁいう表情を浮かべるようになってしまうのさ」

 透明な酸素マスク越しでも、緩んだ口元から涎をたらして夢心地になっている姿が確認できる。
 だがそれも排泄の終了を感知されて、代わりに放水ノズルが挿入されると終わってしまう。

「おッ、おぉぉぅ」

 再び腸内に向けて、ぬるま湯が圧力を高めにして噴出されると、シスター・シフォン腰を浮かせそうになりながら雄叫びのような声を上げてしまっていた。
 ぬるま湯を注がれては排泄をされる。それを繰り返されて腸内の洗浄が終了するころには、グッタリして放心しているのだった。

「さーて、排泄処理はこれで終わりだよ。それ以外にも簡単な治療などもコイツがやってくれる。だから、排泄許可が受け取ったら指定時間内にコイツに座ることだね」
「ちょっといいか? もし、時間内に出来なかったら……どうなるんだよ」
「なにも起こらないさ。ただし、次にいつ排泄許可が下りるかわからないからね、あまりお勧めはしないよ」

 グッタリしたシスター・シフォンを抱き上げながら、彼女は意地の悪い笑みを浮かべてみせるのだった。


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