嗜虐遊戯 ―女性警察官を弄ぶ上級令嬢―

【3】橙木 夏子

 春江と別れた夏子らは、せめて車で送ってあげようと彼女の後を追っかけていたのだ。
 ミニパトを運転して春江の後ろ姿を発見した彼女らだが、目の前で別の車が彼女を乗せていった。
 親しげに話していた様子から、顔見知りの車のようだったが、どうにも嫌な予感がして追跡することにした。
 その予感は的中した。途中で同乗してた捜査課の刑事が降りると、車は人気の少ない再開発地域へと向かった。
 新しい女性市長が大々的に宣伝している事業で、以前は大企業の工場跡地にレジャー施設をつくる予定なのだ。
 そのため、広大な土地は封鎖されて、警備を担当する者をのぞけば無人になっているはずなのだ。
 そこに車は何食わぬ顔で入っていくのを確認して、春江がトラブルに巻き込まれたのを確信する。

「先輩、どうしましょう……」

 不安げに冬美が見つめてくるのは、監視している最中に署長からの捜索中止の指示がでたからだった。
 千秋は身内の不幸のために急遽、帰郷しているだけで、トラブルには巻き込まれていないというのだ。
 連絡がつかないのは端末の故障とか言い出している始末で、周囲には同居人と偽って恋人である千秋と同棲している夏子には到底容認できない内容なのだ。

(クソッ、千秋の身になにかしてやがったら、半殺しにしてやるッ)

 弱腰の署長が、強引に事件の幕を閉じようとしていることから、相手が権威をもっている者なのがうかがえる。
 春江を拉致するのに捜査課の刑事も荷担しているとなると、夏子らの上司らも信用できない。 
 もし荷担していた場合、報告は握りつぶされた上に邪魔される可能性すらあるのだ。

「ふぅ、しょうがない。忍び込むわよ」
「えぇぇ、それは不味いですよぉ」
「現場を押さえてしまえば、こっちのものよ。車は入ったままだし、警備もザルよ。不審者を追跡してたといえば言い訳も立つわよ」
「そ、そんな無茶ですよ……」

 野性味あふれる夏子は、外見同様に強引な性格で、十代の頃は随分とヤンチャもしていた。
 そんなだから、体育会系の春江とは気が合う。ふたりして無茶するものだから、振りまわされる千秋がいつも愚痴をいっているのが日常であった。
 だが、今回はその千秋が拐われて、今また春江の魔の手に落ちたのだ。
 冷静に見えて、その心中は怒りと焦りで渦巻いていた。

「貴女は残っててくれれば良いから」
「そ、そんな訳にいかないですよッ……わ、わたしも手伝いますッ!!」

 いつも小動物のようにオドオドしている冬美が、その時ばかりは決意をかためて語尾を強める。
 新人の予想外の反応に驚いたものの、すぐに不敵な笑みを浮かべた。

「よし、オーケーッ、なら作戦はこうだ」

 夏子の考えたプランはシンプルだ。日が暮れたら美冬が守衛の注意をひいている隙に、死角から夏子が侵入するというものだった。
 作戦通りに冬美がミニパトでゲートに近づくと、厳つい警備員ふたりが対応に出てくる。
 不審者を見かけたのだと適当な理由をつけて彼らの注意をひいているうちに、物陰に潜んでいた夏子が反対側から敷地内に侵入をはたした。

(よーし、上出来だ。あとで、いっぱい誉めてやらないとね)

 設置されている監視カメラを避けながら、慎重に敷地の奥へと進む。
 最低限の照明が点灯している敷地は広大で、倉庫や施設の建物が数多く建ち並んでいた。

(元は、なにかの組み立て工場だったんだっけ、しかし、人気がない夜の施設って不気味だな)

 建物の隙間を縫うようにすすみ、ようやく追跡していた車を見つける。
 その前の建物が目的の場所とみて間違いないだろう。
 足音を忍ばせて近づいてみれば、入り口は施錠されておらず、容易に侵入することができた。

(さーて、どこだぁ……)

 非常灯のみが点灯する薄暗い通路を進んでいくと、壁に残された案内表示で試作などを作成する工作室があることがわかった。
 耳を澄ませば、そちらの方から微かに物音が聴こえてくる。
 そちらに慎重に歩を進めていた夏子だが、先のT字路で思わぬ奇襲を喰らうことになった。
 物陰に潜んでいた人物が、不意をついて襲ってきたのだ。

「――ぐぅッ……くそぉ、なんだぁ、てめぇはよぉッ!!」

 肩を掴まれて後ろの壁に叩きつけられた夏子は襲撃者を確認する。相手は奇妙なことにメイド服を着た大柄な女だ。
 筋肉の盛り上がりがわかるほどの強靭な肉体の持ち主で、古風なエプロンロングスカートに頭にはホワイトプリムまでつけている姿とのアンバランスさが激しい。
 だが、その顔に夏子は見覚えがあった。

「あッ、あんたッ、サキタだろう? あの全日本レディースプロレスで、チャンピオンにもなったパンサー・サキタじゃんッ!!」

 格闘技好きで、プロレスの観戦にも行っていた夏子は彼女のファンだったのだ。
 だが、不況で団体組織が解散して、社長を兼任していたサキタは多額の借金を抱えて姿をくらませていた。
 そんな憧れだった選手が、メイド姿で襲撃してきたのだから混乱する。
 だが、シンプルな考えの夏子はすぐにニヤリと不敵に笑い、相手をはねのけた。

「まぁ、いいや。憧れだったアンタとバトれるなら、それはそれで嬉しいわ。ちょっと急いでるから手加減できないぜ」
「ぬかせッ、こっちも仕事なんでねぇ、素人だろうが本気でやらせてもらうよッ」

 腰を落としてファイティングポーズを取るサキタに対して、夏子は右肩を引いた半身の状態で対峙する。
 十代の頃はヤンチャしていた夏子は、琉球空手をベースにした喧嘩殺法を使う。競技とは違い実戦で鍛えあげた技は手加減をしらない。
 突進してくる相手の鼻面に正拳突きを食らわして勢いを止めると、仰け反ったところを首筋にまわし蹴りを放つのだ。

「ふぅ、メイドさんに転職して、ちょっと鈍ってるんじゃねぇのか?」

 興奮すると昔の荒々しい言葉使いに戻ってしまう夏子は、気絶したサキタを壁の手すりに手錠で繋ぐと、先を急ぐ。
 物音は徐々に近づき、通路の突き当たりに両開きの扉が現れる。

「チッ、待ち伏せされたってことはバレてるよなぁ、なら遠慮なしでいくぜッ」

 ドアを蹴破り、そのままの勢いで中へと転がり込む。
 エアシャワーを備えた二重扉の向こうには、真っ白な空間があった。
 そこに立っていた人物が、夏子を出迎える。
 漆黒のボディスーツに身を包んだ、有栖であった。
 ブロンド髪を優雅にかきあげて、不敵に笑う金髪碧眼の美少女の登場に、夏子は怪訝な表情を浮かべる。

「誰だぁ、てめぇは? 春江を拐わせたのはテメェかぁ? 千秋もここにいるのか?」

 ヤンキーのようにメンチを切り威嚇する夏子にも、有栖は動じた様子もない。
 ただ、珍獣でもみたかのように興味深そうにみていた。

「あぁ、確か橙木 夏子さんでしたね。春江さんの先輩で、千秋さんのお相手ね……ふーん、こんなのがイイんだ。ちょっと、意外ね」
「チッ、名前までバレてるのかよぉ、なら話は早いな。取りあえず二、三発で勘弁してやるから、二人はどこにやったか教えろ」

 指をパキパキと鳴らしながら歩み寄る夏子に、困った人をみるように有栖は嘆息する。

「ふたり、先程からそこにいますよ」

 指で上に指すと頭上からモーターの駆動音が響きはじめる。
 それにつられて夏子も見上げて絶句する。

「な、なんだよ、ありゃ……」

 天井から伸びたボロットアームに吊るされたフレームバインダー。そこに拘束されたふたりの姿があった。
 制服をわずかに身に付けた半裸状態で、露出した下半身をさらけ出すようにがに股姿で金属のフレームに固定されている。
 涙を浮かべながら、ボールギャグを噛まされた口の奥から唸り声をあげて、必死になにかを訴えていた。 
 ロボットアームは滑らかな動きでふたりを降下させて、有栖の左右にピタリと停止させる。

「このガキがぁッ、もぅ遊びでは済まねぇぞッ」

 立ち姿すらも優雅に見える有栖の左右に、開脚フレームバインダーに拘束された二人が、秘部をさらしたがに股姿で涙目で訴えてくる。
 その姿に、怒りで目眩がしそうだった。

「覚悟しやがれッ」

 距離を詰めようと踏み出す夏子の前に、別のロボットアームが出現して邪魔をする。まるで大蛇のように身を捻りながら、二本のロボットアームが威嚇してくるのだ。
 一本ならその動きを掻い潜れそうだが、二本は連携して隙をカバーしあっている。

「チッ、邪魔くせぇッ」

 対峙しながら夏子は密かに腕時計で時刻を確認する。潜入して三十分経過しても連絡がない場合は、冬美には消防に連絡するように指示していたのだ。
 そろそろ、消防車のサイレンが聴こえてくる頃だ。混乱に乗じて相手を確保するつもりでいた。

「あぁ、もしかして時間稼ぎしてます? なにか策を練ってたようですがダメみたいですよ……だって、ほらッ」

 有栖の言葉に反射的に振り返ると、入り口には執事服の女に連行された冬美の姿があった。

「――あぁ、先輩ッ」
「冬美――くッ、そいつを放せッ」
「おっと、月並みで申し訳ありませんが、動かないでいただきたいですね」

 駆け寄ろうとした夏子は、制止の言葉に足を止めてしまう。
 冬美の首に手を当てた男装の麗人という言葉が似合いそうな相手に、ただならぬ気配を感じたのだ。

(コイツはやべぇなぁ、なんか嫌な気配のするヤツだ)

 物腰から格闘技を身に付けているようだが、夏子が警戒するのはそれではなかった。
 目的のためなら手段を選ばない、人殺しも平然とおこなえるような危険な気配を、目の前の人物から感じ取っていたのだ。
 事実、執事服の女性――雪乃 冷香(ゆきの れいか)には、その覚悟も実績もあった。
 冷香は、有栖の父親が直々に愛娘の護衛兼お目付け役としてそばに付かせている人物だ。
 ショートカットの黒髪に切れ長の目、長身で中性的な美貌をもち執事服を見事に着こなす。
 主人である有栖とは同じ乳母に育てられ、常に盾となり剣となるよう求められてきた彼女は、有栖に尽くすことを至上の喜びとしていた。
 有栖が望めばそれに応え、その先も必要と判断すれば前もって処理をする。
 そこに正悪の判断はなく、ただ主人である有栖に有益であるかどうかが冷香の判断基準なのであった。
 だから、人質として捕えた女性警察官が恐怖でガタガタと身体を震わせようが、なにも感じない。
 警告を無視すれば、手をかけた細首をへし折ることにも躊躇はしないつもりでいた。
 それを夏子も肌で感じたのだろう。肩を落とすと両手をあげてみせる。

「ふぅ、わかったよ。降参だ」

 その腕をすかさず二本のロボットアームがガッシリと掴むと、抵抗を封じて無力化する。

「なんだぁ、つまらないなぁ」
「お嬢様、ふざけすぎるのはダメですよ」
「わかってるわよ、そっちのにはアレを装着しておいて」

 有栖の指示で、冬美の首には銀の首輪がカチリと装着されると解放される。
 光沢を放つ銀のリングは、なにかが作動しているのを知らせる緑のL.E.D.が点滅していた。

「なにこれ……は、外れない」
「あぁ、無理に外そうとしない方がいいわよ、ビリッてくるから」
「――ギャッ」

 警告する間もなく、バチッと激しい音を響かせて電流が流される。
 スタンガンとしての機能が内蔵されているのだ。

「ねぇ? 痛い想いをしたくなければ、言うことを聞いてよね」

 ニコニコと有栖に笑顔を向けられて、冬美は恐怖で歪む顔をさらに青ざめさせていくしかなかった。

   

「ふ、冬美、や、やめろッ」
「ごめんなさい、ごめんなさい」

 呪文のように謝罪の言葉を繰り返しながら、冬美はガチャガチャと夏子のズボンのベルトを緩めるとズボンを脱がせていく。
 両腕をロボットアームによって高々と持ち上げられた夏子には、それを阻止することはできない。ブーツとともにズボンを脱がされてしまう。
 可愛らしいリボンを添えたピンクショーツがさらされて、いつもは強気な美貌が羞恥で赤く染まる。

「あぁ、ごめんなさい……」

 電撃を放つ首輪によって脅迫された冬美は、有栖の言われるがままに夏子の肌をさらけ出していった。
 ワイシャツのボタンもすぐに外されて、純白のブラジャーの姿をあらわした。
 窮屈そうに収められた肉の膨らみは、ブロントフックを外されると、カップを弾き出すようにして飛び出してくる。

「わぁ、すごい……」

 砲弾のように突き出た双乳を、冬美は恐る恐るといった様子で白い手袋に包まれた指を埋めて感触を確かめる。
 すでに有栖の細かな指示がなくても手は止まらなくなっていた。
 取り憑かれたように目の前の乳房を堪能して、ついには舌まで這わしはじめた。

「おい、冬美、洒落になってないぞッ……あぁぁぁ、やめぇ、やめろッ」
「あぁ、弾力があって、手に貼りつくような肌触り……すごい、すごいッ」

 ハァハァと息を荒げて揉みたてながら、愛撫を繰り返す。
 硬くなりはじめた乳首を口にふくみ、舌で転がしては、夏子を戸惑わせていた。
 相手が有栖なら自由な足で蹴り飛ばしていただろう。だが、可愛がっていた新人となるとそうもいかない。
 躊躇している間に愛撫は進み、恋人である千秋によってレズに目覚めさせられ、開発された肉体は徐々に反応しはじめていた。

「あッ、ショーツが湿ってきましたよ。感じてくれてるんですね、嬉しい」
「そ、そんな訳――ば、バカ野郎、ショーツに指を入れて――あぁ、止めろぉぉッ」

 無遠慮にショーツの内部に侵入してきた指先。白手袋をはめられた指が秘所をあばき、硬く閉ざされた扉を押し広げていく。
 わずかだが確かに濡れていた。ノックをするように刺激を与えると徐々に湿り気は増していく。
 そうして白い指先に潤滑油として愛液がまぶされていくと、ゆっくりと深部への侵入を開始するのだった。

「あッ、あぁぁぁッ、ダメだッ、見るなぁ、千秋ぃッ」

 ズブズブと挿入され、出し入れを繰り返されると、それまでの荒々しい雰囲気と変わって、夏子は甘く切なそうな媚声をもらしはじめた。
 ロボットアームに掴まれた夏子の手が、なにかを探すように虚空をさ迷う。
 強制されてはじめられたレズ行為だったが、猛々しい雰囲気の先輩を乱れさせることに冬美自身が興奮しているようだ。
 夏子の方も堪えようにもあふれでてしまう淫泣きが悔しくて堪らないのだろう。手袋をはめられた手がギュッと強く握られて震えていた。

「あら、意外ね、喧嘩は強くても、こういう責めには一番弱いみたいね」

 目の前の光景を楽しそうに眺めていた有栖は、両脇で吊るされているフレームバインダーに拘束された春江と千秋に目をむける。
 敬愛していた先輩が、淫らに乱れる姿にショックを受けた様子だ。
 特に同居している千秋の方となると涙をポロポロとこぼして頬を濡らしていた。

「うふふ、いい表情ね」
「――んんッ、んふぅぅぅッ」
「あはは、下の口はビショビショね。安心して、あの人ともタップリと繋がらせてあげるわよ……その代わり、私も楽しませてもらうからね」

 千秋の秘裂を指でまさぐりながら、有栖は楽しそうに微笑んでくる。
 それを悔しげに見つめる千秋であったが、ボールギャクを噛まされてれば文句も言えない。
 そうして、すぐに沸き上がる肉悦に翻弄されて、拘束された肉体を震わせて淫らに泣くことになるのだった。


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