強者の定義 狙われた教壇のヴィーナス

【14】 肉体の限界と悲壮なる決意

「おら、センセイ。こっちだぜッ」
「ぐぅッ……」

 首輪に繋がれたリードを先導する男に強く引かれ、締まる首元に瑠華はその美貌を歪ませた。
 腰に装着させられたベルトから伸びる短い鎖が、太ももに嵌められた枷へと繋げられている為、脚を伸ばす事が出来ず、犬のように四つん這いで歩くしか手段がなかった。
 男たちは、あれから手をスッポリ覆って指の動きを制限する革製のミトンが被せ、それが脱げないように手首の締め金具の上から手枷を嵌めて南京錠までロックすると、両足首にも同様に足枷が嵌め、手枷同士、足枷同士を繋ぐ短い鎖で彼女の動きは大きく制限されたのだった。

「おら、早くしろやッ!!」
「あくッ……うぅぅ」

 背後に立つ男が瑠華のつんと吊り上がったヒップに足をのせ、グリグリと踏みにじりながら前に進むように促す。
 あまりの恥辱に美貌を歪めた瑠華は抗議の声を上げようもするものの、美唇を割りさくように噛まされた棒状の口枷が、その自由すらも彼女から奪っていた。

「うぐぐ……」

 度重なる凌辱と睡眠不足は、着実に瑠華を蝕んで反抗の気力を削り取っており、それ以上、抗おうとする気を奮い立たせることができなかった。
 瑠華は、男にリードを引かれるままに、まるで大型のペットのように四つん這いで歩み始める。歩む度に、乳枷で絞り出された豊満な乳房が大きく揺れ、その先端で痛いほど硬く尖り続ける乳首を噛みこんだクリップに付いた鈴が、澄んだ音を奏でる。

チリーン……チリーン……

 それがより一層、貶められている事実を彼女の再認識させ、その心を苛んでいった。
 だが、一晩中、媚薬漬けにされつづけた身には、揺れる鈴の反動でクリップが責め立てる乳首の痛みさえも、甘い疼きと変えてしまうのだった。

「くぅ……んぅッ……」

 欲情しきった身体は上気し、貞操帯の下でプックリと充血しきった秘肉の合間から、太腿をべっとりと濡らすほどの大量の愛液を溢れ続け、まるで発情した雌犬のようにハァハァと息を乱しては、口枷の合間からポタポタと涎を垂らしてしまうのだ。
 身体の芯から湧き上がる激しい疼きは狂おしいほどで、残った気力を振り絞っていないと理性が肉の欲望に押し流されそうになっていた。そんな今の自分の状態に、瑠華は激しい焦りと不安を感じていた。

(あぁ……このままでは、この男達に本当に身も心も性の奴隷に変えられてしまう)

 そう思案している間にも、膣肉が肉悦を求めて勝手に蠢き、挿入されている貞操帯の張り型をギュウギュウと締め付ける。その度に、それで激しく突き上げられたいという激しい衝動にかられそうになる。

(うぅンッ……だ、だめよ……流されてはダメッ!!)

 僅かに残った理性が必死に踏み止まろうと抗う。だが、このまま時間をかけて体力と気力が削られていけば、それを支えるのも難しい状況になっていくのは目に見えていた。

(は、はやく、なんとかしないと……)

 男たちに促されるままに四つん這いで進みながら、ピンク色の霧に埋もれそうになる頭を必死に働かせ、藁にもすがる思いで周囲を観察する。
 今、歩かされている通路の幅は4m程度で、照明などは壁に埋め込まれ、極力、凹凸のない造りになっていた。所々、ドアがあるものの画一的な作りで、窓ひとつない無機質な灰白色の廊下が延々を続いて、所々に壁に描かれた番号が無ければ、自分が今どちらに向かっているのすらも、わからなくなりそうだった。
 黙々とただ歩かされ、時間だけが経過する。そのうち、瑠華は自分が同じルートをグルグルと歩かされる事に気が付いた。
 単調で、慣れぬ動きに心身の疲労が蓄積していく。そうして、小一時間ほど歩かされ続けて意識が朦朧としはじめた頃、ようやく止まる事を許された。
 そこは、瑠華にとって見覚えのある両開きの扉の前であった。その前に待ちかねた様子の常盤が立っており、眼鏡越しの冷たい視線を彼女ら向けてきた。

「……5分の遅れです」

 開口一番に放たれた言葉に、それまで瑠華に対し蔑む笑みを浮かべていた周囲の男たちが表情を引き攣らせた。

「あ、いや……」
「それはですね……」

 慌てて弁明をしようとする男たちだが、常盤はそれを一瞥しただけで黙らせる。

「……それで?」
「いえ……すみませんでした」
「よろしい」

 深々と頭を下げる男たちの姿を眼鏡のブリッジを指で押し上げながら見下ろした常盤は、その視線を瑠華へと向ける。

「おやおや、涎をダラダラと垂れ流して、まるで雌犬みたいですね。いっそのこと猩々緋 将尊さまの牝奴隷ではなく、雌犬としてペットにしてもらったらどうですか?」
「……」

 言葉とは裏腹に、そこに蔑みの響きはなく、ただ純粋に思ったことを提案しているようであった。
 最初に攫う時もそうだった。ただ必要な作業を合理的に進めている風にも見え、そこに同年代の少年たちにあるような激しい感情の起伏がなく、瑠華には目の前の少年が物事に対し、ひどく冷めてしまっているように感じられた。
 常盤はおもむろに瑠華の後頭部へと手を伸ばして口枷を外すと、それを脇に立っている男へと渡し、あとは自分がやるからと男たちを下がらせた。

「……琴里ちゃんは、どうしたの?」

 瑠華のその言葉を予想していたのだろう、常盤は黙って手にしていたタブレットを彼女の前へと差し出す。そこに映し出されていたのは、まるで高級ホテルのスィートルームのような豪華な室内にいる紅樹 琴里の姿だった。見慣れた私服姿で、ジッとベッドの上に腰を掛けており、暴力を振るわれたりした様子は特に見受けられなかった。

「この通り、丁重に扱わせていただいていますよ」
「……開放する約束だったはずよ」
「確か、『それは、貴女の態度次第』と言ったはずですよ。僕から見て貴女の態度は、とても良いとは言い難いですけどね」
「……このッ」

 ため息をつき、ヤレヤレと首を振る常盤の姿に対し、瑠華は悔しげに表情を歪めるしか出来ない。
 常盤は、そんな彼女の顔を覗き込むように腰を落とすと、表情を改めた。

「さて、本題に入らせてもらいますが、私は所用で暫くここを離れます。その間、貴女には余り手間を掛けさせずに猩々緋 将尊様に素直に従って欲しいのですが?」
「そんな事、出来るわけ……」
「あまり抗い続けると、逆上した猩々緋 将尊様が、貴女の大事な方に手を出さないとも限りませんよ?」
「……くッ」
「さて、そこで提案なのですが……」

 淡々とした口調のまま瑠華を見つめていた常盤は、そっと彼女の耳元に唇と近づける。

「貴女には、猩々緋 将尊様に対して上辺だけでも結構なので従順な態度で接してもらいたい」
「なにを……」
「まぁ、最後まで聞いてください。貴女には、インフルエンザにかかった事にして職場を休んでもらっていますが、それにも限界があります。精々10日といったところで見積もっているのですが、それまで猩々緋 将尊様を満足させてくれれば、連れの彼女共々、解放してあげられますよ」
「それを信じろと?」
「こちらにも、いろいろと事情がありましてね。それに、貴女も限界でしょう? せめて一太刀と、猩々緋 将尊様の大事なところでも食い千切られては、ちょっと困りますしね」

 黙りこむ瑠華の瞳の奥に動揺の光を確認した常盤は眼を細めつつ、会話を続ける。

「もちろん、貴女がそうしてくれるのなら連れの彼女に対する安全は保障します……頭の良い貴女なら、今、何を最優先とするべきかわかるでしょう?」
「…………」
「さて、時間切れです。それでは、行きましょうか」
「ちょ、ちょっと、まだ……」

 一方的に会話を打ち切った常盤は立ち上がると、リードを手にして特別調教室の扉を開いて内部へと入っていく。それに従わざるおえない瑠華は、続いて室内へと入るのだが、そこに将尊の姿を見つけて美貌を強張らせた。



「やっと来たかッ!! 瑠華ぁ、どうだった、雌犬姿での朝の散歩は気持ち良かったか? ウヒヒッ 躾だけでなく健康管理もしっかりやってやる俺は優しいなぁ」

 椅子に座った将尊は唾を吐き散らかしながら、腹を揺すって上機嫌に笑う。その姿に、やはり嫌悪感しか感じられず、瑠華は眉間に皺を寄せる。
 だが、そんな彼女の嫌悪な態度にも気付いた様子もなく、口元を緩めた将尊はいそいそとズボンを脱ぎだすと局部を露わにするのだった。

「……うッ!?」

 剥きだしになった将尊の男根は既に隆々とそびえ立ち、その異様な迫力に瑠華は改めて気圧された。

「ん? どうした? 俺のこの逞しいチ×ポが欲しくて欲しくてたまらないんだろう?」
「そ、そんな訳ないでしょッ!!」

 顔を真っ赤に染めながら否定の言葉を放つのだが、激しい疼きに苛まれ続けている瑠華は、将尊の男根から視線を外せずに無意識にゴクリと喉を鳴らしていた。
 
「あんなに昨日はヒィヒィ啼きながら、気持ち良さげに腰を振ってたじゃねぇか。ウヒヒッ」

 下半身剥き出して腹を揺すりながら迫りくる将尊に、思わず四つん這いの瑠華は後ずさる。
 だが、常盤にリードを握られていては逃げ出す事もかなわず、すぐさまその髪をガッシリと鷲掴みされてグラグラと頭を振らされた。

「まだわかんねぇのかぁ? お前は、もう俺のモンなんだよッ!! それとも、なにか? 昨日の一部始終を撮った映像を、出張中のお前の彼氏にでも送りつけてやろうか?」
「なッ!? そ、そんな事は、やめてッ!!」
「なら、どうすれば良いか……ウヒヒッ、わかるだろう?」
「……くぅッ」

 愉快そうに腹を揺らす将尊を睨み付けた瑠華は、視線を常盤へと向ける。
 部屋に入ってから無表情だった常盤の口元が、その視線を受けてわずかに吊り上がったように見えた。

(私が穢された事実は、どうやっても消えない……)

 グイグイと肉塊を押し付けてくる目の前の醜悪な男に対する怒りや嫌悪感は増すばかりだった。だが、それとは裏腹に、先端からタラタラと透明な粘液を垂らす肉塊から放たれる雄の性臭にクラクラするほど脳が揺さぶられていた。
 催淫効果のある薬によって狂わされた肉体は、激しい肉欲を求めて止まず、それに対抗する気力が限界なことは瑠華自身も嫌というほど理解していた。

「おい、常盤ぁ、どうなってるんだ!? もう、俺のコイツに瑠華はメロメロなんじゃねぇのかよッ?」

 それでも、目の前でまくしたてるこの男に屈するのは死んでも嫌で、常盤の指摘通り、これ以上耐えられないと思ったら、いっそのこと噛み千切ってやろうかと密かに心に決めていた。だが、その決心すらも先ほどの常盤の言葉によって揺らいでいた。

――頭の良い貴女なら、今、何を最優先とするべきかわかるでしょう?

(私が今、最優先にするべきこと……)

 瑠華の脳裏に先ほどの常盤の言葉が繰り返され、ひとりの少女の笑顔が浮かぶ。
 噛みしめた歯をギリリと鳴らしながら、脇に立つ常盤を再び睨み上げると、瑠華は目の前に突き出された怒張へと視線を向ける。
 むせかえるほどの激しい性臭を放つそれは、先端から溢れ出すカウパー氏線液によって大きく開いた傘の部分が不気味にてかり、見ているだけで嘔吐感がこみあげてくる。

(私が琴里ちゃんを守らなければッ!! それをする為になら、私は……)

 やつれた美貌に悲壮感をにじまつつ、瑠華はその瞳に決意の光を宿していく。
 そして、ゆっくりと顎を開いていくと、目の前のそれを受け入れていくのだった。

「んッ……うぐッ……」
「おッ、おぉッ! 瑠華が自分から俺のを咥えたぞッ!!」

 大はしゃぎする尊将の声を頭上に聞きながら、瑠華は咥えたモノのあまりの太さに眉間に皺をよせ、切れ長の目元を朱に染めていく。

「ウヒヒッ、遠慮しないでもっと根元まで咥えろよッ」

 込み上げる嘔吐感に背を震わせる瑠華であったが、尊将はそれに構わず、両手で頭を押さえつけるとグイグイと腰を突き出しはじめた。

「ンげぇぇ……うンぐぅぅッ……」
「ソラ、ソラ、まだまだ半分もいってないぞ」

 激しく喉奥を突かれ、目尻から涙を滴らせる瑠華。それを見下ろしながら、欲しかった玩具を得た子供のように大はしゃぎをする尊将。
 常盤は眼鏡のブリッジを指で押し上げながら、その光景に密かに冷笑を浮かべるのだった。




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