月下の奪回ゲーム
木々に囲まれたベンチに座り、俺は頭上に広がる満天の星々を見上げていた。
「すごい星の数だなぁ、なぁ、楓華(ふうか)先生も見てみろよ、月も綺麗だぜ」
郊外の森林公園まで足を伸ばしたかいもあって、普段は人工の光で見えない星まで見える夜空は、まるで星が降ってきそうだった。その中央に浮かぶ満月は冷たく輝き、俺たちを照らしていた。
俺は視線を下ろすと、脚の間で跪いている千草 楓華(ちぐさ ふうか)へと目を向ける。
「んぐ、うぐぅ……」
その肝心の彼女だが端整な顔立ちを苦しげに歪め、俺が密かにエロいと感じている少し厚めの唇をいっぱいに広げて俺の剛直を咥えていた。
「あぁ、悪い悪い、今はそんな余裕なかったんだっけ」
俺の言葉にギッと睨みつけてくる彼女だったが、すぐに目を伏せると口唇奉仕を再開しだす。
しっとりとかいた汗で髪を張り付かせた頬を一生懸命に窄め、肉茎へと舌を這わせてくる。
顔を上下に動かすたびに裸体を締め付けるハーネスから絞り出された大ぶりの乳房が勢いよく揺れて、密かに俺の目を楽しませていた。
「まったく、昼間はキリリとしてカッコイイ楓華先生が、こうしてオッパイ丸出しの格好でガキ扱いしてた俺のチ×ポを美味しそうに咥えてるなんて……知ってる連中が見たら卒倒しちまいそうだよな」
「――ぷはッ、だ、誰が美味しそうによッ」
俺の軽口に耐え切れなくなったか、咥えていた肉棒を吐き出すと文句を言ってくる。
気が強く、口より先に手が出るような彼女だからアームバインダーで後手に拘束してなければ、胸ぐらを掴みかかってきたかもしれない。
「ははは、でもよぉ、さっきから腰がもの欲しそうに揺れてるんだけど……気付いてる?」
「そ、それは……」
「バイブ2本じゃ物足りないのかよ。まったく婚約者が海外出張中だからって、さかり過ぎだろぉ?」
「う、うるさいッ!! か、浣腸されてお腹が苦しいのよッ」
「へーへー、そういう事にしておいてやるよ」
実際のところは、ジージーとモーター音をたてながら蠢くバイブレーターに掻きだされた淫液が 足元にポタポタと大量に滴って水たまりをつくっていた。
さぞかし激しい疼きに苛まれいるだろうに、持ち前の負けん気で肉悦に溺れそうになるのを気力で踏み止まっているのだから恐れ入る。
だが、同時に施した浣腸の効果によってゴロゴロと腸鳴りを響かせる腹部はうねり、タラタラと冷や汗を垂らして眉間に皺を寄せてもいた。
「まったく、素直に降参して罰ゲームを受けるっていうなら、すぐに楽にしてやるぜ? わざわざ人気のない場所まで来てやったんだ、遠慮せずにクソ垂れ流しちまえよ」
「い、いやよッ、どうせそれも……くぅ……カメラに撮って……はぁ、はぁ……お、脅す材料にする気でしょう」
「はは、当たり前じゃん。その代わり、こうしてチャンスもあげてるじゃんかよ。クソ漏らす前に俺をイカせればいいだけのゲーム、簡単だろ? そんな訳で、萎えちまうから早く咥えなおせよッ」
「――うぐッ!! ぐむ、うン、ふぐ……」
「そーそー、なかなか気持ちいいぜ。まったく、恋人のも口にしたことねぇって最初に聞いた時はビックリしたけど、今じゃ大した上達ぶりだよな」
「んぐッ、うむ、ふん、ふむ……」
文句があるのか眉を吊り上げ、睨み付けてくる彼女だったが、流石にもう余裕がないのだろう。俺の肉茎に唾液をまぶした舌腹をはわして舐め上げ、ギュッと口腔全体で締め付けては扱きあげていき、一心不乱にフェラチオ奉仕へと没頭していった。
その心地よい奉仕に浸りながら、俺は握りしめている鎖へと視線を向ける。
――俺の手から目の前の彼女の首輪に繋がる銀色の鎖……
金属製でありながら、俺にはそれが細く、弱々しく感じられた。まるで、今の彼女との関係をあらわすかのような鎖の存在感に歯を噛みしめ、空いている手でカメラを掴んで構える。
俺の肉棒を口いっぱいに頬張る美貌や、拘束具に絞り出された豊乳、その頂きで硬く尖っている乳首を次々とファインダーに納めてはシャッターを切っていく。
――パシッ……パシッ……
フラッシュの強い光が拘束された彼女の裸体を闇から浮きださせ、レンズがそれをメモリーへと記録していく。
それに涙を浮かべて悔しげにする彼女であったが、両手を背後で拘束されていては顔を隠す事もできない。その悔しさをぶつけるかのように、俺の股間に顔を埋めると、まるます奉仕に力を込めていった。
「うぐ……うふ……うむ……」
「おぉぅッ、すっかり俺の弱いところを覚えたよなぁ。そこばっかり着実に責めてきやがる。くぅぅッ、楓華先生の口マンコの心地よさに、俺もすっかりハマっちまってるぜ」
心地よさにビクビクッと腰を震わせてしまう俺の反応に、心なしか嬉しげに鼻をならす彼女。性感のツボを次々と刺激していき、俺を着実に追い詰めていく。
「うふ、ぐッ、ふぐッ、んぐッ」
「おッ、お、お……や、やべぇッ、油断しちまってた。くそーッ、イッちまいそうだッ」
「んふッ、ぐむッ、うぐッ、ふぅンッ」
舌先を先端口に挿しいれながら、美唇でキュッと亀頭のエラを締め付けてくる。そのまま亀頭全体を擦り上げ、重点的に責めたてて俺に追い討ちをかけてきた。そして、ついには俺は絶頂へと追い込まれてしまった。
「くぅぅッ、ち、ちくしょう!! だ、だすぞッ、溢さずにしっかり飲み干せよなッ!!」
「――んぐぅッ!? ぐぅ、うぐぅぅぅぅ」
柔らかな髪を掴んで喉奥まで怒張を押し込み、俺は白濁の液を解き放つ。ビクビクと放出の快感に腰を震わせながら最後の一滴まで注ぎ終えると、彼女は喉をならしてそれを飲みこんでいった。
「ふーッ…………チッ、あーあー、負けちまった」
「はぁ、はぁ、や、約束は守ってもらうわよ」
「わかってるって、約束だからなぁ。カメラに記録してた調教データを消すから見てろ…………ほらよ、消したぜ?」
「あとでバックアップしてた……なんて言ったら……蹴り倒すからねッ」
「ねぇよ、楓華先生の蹴りの威力は身をもって知ってるよ。それに、嘘はつかないって、約束させられたからな」
「そうね……いいわ。今は信用してあげる」
俺の真摯な表情に虚を突かれたような反応をみせた彼女は、なぜか俯いて顔を隠した。だけど、その前に彼女が少しだけ嬉しそうに微笑んでいたのを俺は見ていた。
――グギュルルルッ……
「――ッ!?」
そんな彼女だったが腸鳴りと共にやってきた激しい腹痛に現実へと戻された。途端に眉間に皺を寄せて、再び冷や汗が止まらなくなっていく。
「うぅぅ……は、早く、トイレに……」
「あぁ、そうだった。ほらよ、首輪の鎖は手放したから、早くいけよッ」
「……え? ふ、ふざけないでよッ、せめて手だけでも自由にしなさいよッ!!」
「あー、それなぁ……わりぃ、南京錠のカギ…………バイクに付けたまま、忘れて来ちまったみたいだわ」
「――なッ!?」
「ちなみに一番近いトイレはバイク停めたすぐ傍だよ、ここから10分ぐらいはかかるだろうなぁ」
「…………は、はめたわね」
すっとぼけた俺の白々しい台詞に、物凄い形相を浮かべて睨み付けてくる。
そのまま蹴りの一発でもお見舞いしようと一歩踏み出したようだが、再び激しい腹痛に襲われて、脚をくの字に折り曲げたまま動けなくなってしまった。
「ん? 俺は嘘は言ってねぇぜ?」
「……ア、アンタねぇ」
「ところでよぉ、手が使えないんじゃケツのソレ、自分では抜けねえよなぁ? どれ、俺が抜いてやるよ」
「え……あ、だめッ……いや、い……今抜かれたら、だめよ……あぁぁンッ」
嫌がる彼女のアナルからバイブを強引に抜き取っていく。本体にあるいくつもの瘤が体内から姿を現すたびに、表情を惚けさせては徐々に甘い媚声をもらしだした。
「ははは、すっかりアナルでも感じるようになったよなぁ」
「だ、誰のせいで……うぅぅ……ダメ……あぁぁ、で、でちゃう」
「ほら、早くトイレに行かないと漏らしちまうぜ? ちょうどカメラもあるから、目の前で出そうもんなら、しっかり撮らせてもらうぜ? ブリブリとその綺麗なケツからウンチをタレ流すところをなッ」
「あ、あぁん……む、むりよ……トイレまでなんて耐えられない……」
事実、本当に限界なのだろう。美貌は蒼白になり、鳥肌を立てた裸体が発作のように痙攣を繰り返しはじめていた。もはや、一歩も歩くこともできぬようでイヤイヤと首を振りながら子供のように泣きじゃくりはじめた。
「いや……いやだぁ……だめぇぇ……」
「遠慮せずに出しちまえって。チッ、しょうがねぇなぁ、サービスしてやるよ」
膣内に残っているバイブのリモコンを取り出し、出力ボリュームをMAXにセットしていく。その俺の手元を見つめていた彼女の表情がみるみる強張っていった。
「や、やめ……そんなの、耐えられないよぉ――ヒィィッ!!」
スイッチを入れた途端、ビクンと拘束された裸体が跳ね上がり、ガクガクと激しく揺れ始める。
量感ある乳房を弾ませながら悶えするたびに、柔肌に浮き出た汗の珠が弾き飛ばされては月明かりを浴びてキラキラと煌めいた。
「ほら、ほら、限界なんだろう? カメラでくまなく撮ってやるから、遠慮するなってッ」
「いやぁぁぁぁ、も、もう、だ、だめぇぇぇ、撮らないでぇぇッ!!」
涙を流しながら訴える彼女であったが、俺はその瞬間を逃すまいと無情にもカメラを向け続ける。
そして、冷たい光を放つレンズの前で、突き出されたプリッとした桃のような美尻が震えたかと思うと、ついに限界を迎えるのだった。
――プスッ
間の抜けた放屁が放たれたかと思うと、悲痛な叫びと共に堰を切ったように液体が勢いよくほとばしる。
「いやぁぁぁぁぁッ」
涙を流しながら絶叫する彼女。その美貌と張りのある美尻から放物線を描いて放出されていく液体を俺はカメラのレンズを向けて、しっかりと記録していった。
「ははは、すげー勢いだな」
「いやーッ、いやぁぁぁッ」
「あー、あー、随分と溜め込んでたんだなぁ、くっせー、くせーッ」
「わぁぁぁぁ、いやぁぁぁ、止まらないのぉぉッ」
駄々っ子のように首をうちふり、涙する彼女。だが、その声の音色に甘い響きが混ざりはじめているのに俺は気付いていた。
「おいおい、ヒリ出しながらクイクイと腰を振りやがって、そんなに気持ちいいのかよ?」
「あ……あ、あぁ……そんな……くぅぅ、だめぇなのにぃぃぃッ」
浣腸による腹痛から解放される至福感に加え、秘部で蠢くバイブの振動が甘い刺激となっているのだろう。
排泄しながらゾクゾクするような快感を感じてしまっている自分に理性は戸惑いを感じているようだが、俺の怒張を咥えて、すでに官能のスイッチが入っていた肉体は甘く激しい快感にしっかり反応してしまう。
「まったく、ヨダレまでたらしてやがって……やっぱ楓華先生は、根は好きもんなんだなぁ」
「ち、ちが……あぁぁン……」
「そんな蕩けた表情で言っても説得力ねぇよ。まッ、どっちにしてもこれからもしっかり調教して、俺から離れられないようにしてやるからな」
そう告げた俺は、彼女の顎下へと指をかけて顔をあげさせると、ゆっくりと唇を重ねあわせた。
親の仕事の影響で、俺は幼少の頃から周囲の人間から煙たがられて爪弾きにされていた。勝手に押し付けられてくる社会のゴミとしてのレッテルに振り回され、結果、望まぬともその通りの人間へと育っていった。
当時は今よりも荒れていた俺だったが、ひょんな事から家庭教師として俺を教えることになった楓華と知り合った。腫れ物に触れるかのように接してくる周囲の人間と違い、彼女だけは俺の事を普通に扱い、接してくれた。
会う回数を重ねるごとに、俺は彼女に対して心を許していき、いつしか安らぎすら感じだしていた。
姉のような母のような大きく年のはなれた年上の彼女。そんな彼女と交わした約束がひとつだけある。
―― 自分にも人にも嘘をつかない……
彼女自身も実践しているそれは、当時、人が押し付けてくるレッテルに悩まされて押し潰されそうになっていた俺を救ってくれた。
お陰でそれ以来、不良だゴロツキだと周囲から後ろ指さされようが、誰に恥じることなく生きてこられた。
彼女にとっては、大したことをした訳ではなかったのかも知れない。だけど、それにどんなに俺が救われたことか。
今では彼女とのやりとり全てが、俺にとっては大切な宝物のようになっていた。
――だから、彼女が結婚するという話を耳にした時も……
――俺は自分の心に嘘をつけなかった……
透明な糸を引きながら口腔から舌を抜いた俺は、彼女の頬を伝う涙を指で拭ってやると濡れる瞳を見つめた。
(あんな優男なんかに渡さねぇ、ぜってぇ俺だけのモノにしてやるからな、楓華)
自分の行動が彼女を苦しめているのはわかっている、悲しませているのもわかっている。
だから、俺を恨んでくれて構わないし、卑怯ものだと罵ってくれても構わない。
ただ、自分の独りよがりでワガママな想いを貫く為、俺は彼女の肉体と心を奪う為のゲームを繰り返す。
「さぁ、次のゲームをはじめようぜッ、楓華先生」
今夜もまた、俺は月の下で調教という名の奪回ゲームを彼女に始めるのだった。
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