アベンジャー

――私は絶望していた……

 届いたメールに記載されていたアドレスにアクセスすると、目の前に備え付けたモニターにその映像が映し出された。



「よぅ、社長さん、おはよう。昨夜はよく眠れたかな? アンタが付けてた護衛は役には立たず、娘さんに続いて奥方もお預かりした訳だが、こちらの要求はメールで送った通りだ」

 画面に映し出された人物は、暗闇で顔がよく見えない。だが、その口元に浮かぶ笑みには見覚えがあった。

「……貴様……また……」
「あぁ、よく気が付いたな、また攫わせてもらったよ。早く指定口座に振り込まないと、折角、リハビリで治った2人がまた壊れてしまうかもしれんぞ?」

 人を嬲る事が好きな人間特有の嫌な笑みを浮かべた目の前の男は、革命家などと名乗ってはいるが、世界中の要人、金持ちをこうして脅しては、金を巻き上げているテロリスト気取りのただの犯罪者だ。

「今、映像を送っているカメラはアンタの会社の製品だが、実にイイ品だ。ここ数年で各国のミサイルに搭載されるようになったのも頷ける。しかし、それによって、何人の人間が殺されたんだろうなぁ?」

 これがこの男の手口だ。”正義の鉄槌を行う者””弱者の復讐代行者”と称して自らの正当性をうたっている。だが、それが詭弁であるのを一番知っているのは目の前の男だろう。

「今……振り込んだ」
「オーケー、オーケーッ。確かに指定金額が振り込まれたのを確認した」
「だったら……」
「それはそれとして、アンタのせいで家族を殺された人たちの気持ち……アンタも、身をもってまた勉強しないとなぁ?」

 そう言って暗闇の中でニタリと笑う男は、まるで悪魔のように見えた。



 切り替わった画面に映し出されたのは、暗闇の中でスポットライトに照らされた全裸の女性だった。
 寝かされたX字の拘束台に四肢を伸ばした状態で乗せられ、肉付きのよいグラマラスなボディ、その染み一つない白い柔肌に、黒革のベルトが幾十にも巻き付き、ガッチリと拘束している。
 肉厚の美唇を押し分けるようにバルーン付きの口枷が押し込まれ、完全に喋る事を封じられており、乱れたウェーブの掛かった黒髪の間から見える切れ長の目には、恐怖の表情が浮かんでいた。

「んッ……うぅッ……」

 彼女は必死に自由を得ようと身体を揺るものの、ミチミチッとベルトの革がしなる音だけが、スピーカーから空しく流れてくる。
 それでも諦めずに抗い続けていたのだろう。身体を揺する度に、肌に浮き出た無数の汗の珠が強力な照明の光を受けて、キラキラと光を放っていた。

――ギリッ

 その光景を見て、私は奥歯を噛みしめる。

「アンタの奥方は相変わらず気丈な方だな。今回は忙しく、私が直接相手をできなくって誠に残念だが、私の信頼する同志達が代わりに可愛がってくれるので、安心して愉しんでくれたまえ」

 それを最後にヤツの音声は消え、代わりに目と口をくり抜いた黒いマスクを被った男たちが画面内に現れた。
 男のひとりが彼女に何かを囁き、その黒髪を鷲掴みすると、カメラの方へと顔を向けさせる。
 悔しげに眉を歪めた彼女の瞳が必死に何かを私に訴えてくる。

「くッ……」

 男たちは私の知らぬ言語で口々に喋りながら、ある男は、気丈にも睨み付ける彼女の髪の毛を掴みグラグラと揺すりながら頬を叩き、ある男は、形の崩れぬ見事の張りのある乳房に指を食い込ませ、まるでもぎ取らんばかりに荒々しく揉み立てた。また、ある男は白い肌に舌を這わせ、歯を突き立て、男たちは己が欲望のままに彼女を蹂躙していった。
 そのうち我慢できなくなった彼らは、私の目の前で我先へと彼女の秘部に己の男根を突き入れ、好き勝手に腰を振りはじめる。その動きは女性を喜ばせる目的なものではなく、ただ自分の快楽を得る為に女性を玩具のように扱うものだった。

「うぐッ、ぐぅぅぅッ!!」

 ろくに濡れてない秘部に挿入されて、苦悶の表情を浮かべて呻き声をあげる彼女。
 だが、最初の男が早々に果ててその膣内に精を放ち、それを潤滑剤にしながら次の男が責め立てていくと表情に変化が現れ始める。そして、2人、3人、4人と男たちが入れ替わるにしたがい、あきらかにその挿入が生み出す刺激に感じているのが、嫌でもわかるようになっていった。
 その光景から目を離せずにいた私だが、気が付けば知らぬ間に頬を涙で濡らしていた。



 そうして何人にも犯され続け、気丈だった彼女の瞳から強い意志の光が消えたのを確認すると、男たちは乾いた笑みを浮かべながらようやく彼女から離れていった。
 そして、ひとり最後まで犯し続けていた男もブルブルと腰を震わせながら膣内に射精する。そして、見下した目で彼女を見下ろすと、罵声を浴びせかけて、顔に唾まで吐きかけた。
 グッタリとしたした彼女。その染み一つなかった白い柔肌が男たちの体液で濡れ光り、無数の男たちの朱い指痕、歯形、そして殴られて出来た青痣が無残に刻まれ、ポッカリと無残に開いたままの秘部からは大量の白濁の精液が床へと滴り落ちていった。

――だが、男たちはそれで満足などしなかった……

 今度は画面外から、後ろ手に縛められた少女を連れてきた。アイマスクと大型のヘッドフォンで表情は分からないが、そのまだ女として成熟しきれない身体には見覚えがあった。

「まさか……」

 私の声があちらにも伝わるのだろう。私の声に、画面内の男たちがこちらを見て下卑た笑みを浮かべた。

「――ッ!? ううンッ!!」

 グッタリしていた彼女も、その少女が誰か分かったのだろう。異物を押し込まれ、言葉を封じられた口で必死に呻き声を上げて暴れると、その反応に周囲の男たちは一様に嗜虐の笑みを浮かべ合った。
 そして、事も有ろうか、少女に彼女の秘部を舐めさせ、自分たちの放った精を啜らせ始めたではないか。

「――ぐぅッ……」

 ピチャピチャッと少女の舌がたてる水音がスピーカーから流れ出てくる。その音を聴かせられ、私の忍耐力は限界に近づいていた。
 更に男たちは極太の双頭バイブを取り出すと、弱々しく首を振る少女の秘部へと無理やり押し入れ、彼女との結合を強要する。

「あッ、あぁ……」

 少女の股間から生えた女性の手首ぐらいの太さはありそうな凶悪な淫具。その切っ先が、ズブズブと秘肉を押し開き、その圧迫感に、彼女が拘束された不自由な身体を大きく身を仰け反らせた。

「――うぐぅッ!!」

 そうして、無理やり2人を深々と双頭バイブで繋がせると、男たちは今度は少女に腰を振らせようと背後から鞭を打ち始めたのだった。

――ピシッ! パシッ!!

「ヒッ、や、やめて、ヒギィィィッ!!」

 鞭が振り下ろされるたびに健康的な柔肌に朱い痕が刻れ、鞭の乾いた音と共に少女の悲鳴が薄暗い室内に響き渡る。
 それを男たちは嘲笑いながら、交代しては次々と鞭を振り下していく。
 そうして、さんざん鞭を振り下した男たちはようやく満足すると、少女の頭からアイマスクとヘッドホンを外し、涙と鼻水でグシャグシャになった素顔を曝け出して、それを私に見せつけるように画面へと向けた。

――それを見た瞬間……私の我慢は、限界を越えた……

「もう……いい……」

 男たちは、どうすれば私を効果的に苦しめられるか、ヤツに教わっていたのだろう。

「もう、いいよ……」

 かつて、ヤツが私の妻と娘にした事を、この男たちは忠実に再現していた。
 だから、私はあの苦しみを再び噛みしめている。
 そして、その時に感じた悔しさと怒りも……

「もう、いいんだ……」

 画面内では、男たちがグッタリした彼女らの拘束を解き、穴という穴を犯し始めていた。
 それを妙に醒めた心で見つめながら、私は画面内の彼女らにそっと囁きかける。

「もう、我慢しないで、そいつらを殺していいよ。私のリヤオヤー(牙)たち」

 私がそう囁くと、私の妻と娘という偽りの仮面を被っていた彼女らが本来の姿を現した。
 口腔に押し込まれていた男根を食い千切り、のし掛かる男の目を潰し、喉笛を掻き切ると、男たちの関節をあらぬ方向へとへし折った。
 突然の事に戸惑う周囲の男たちは、すぐに怒声をあげるも、それは悲鳴となり、無様な命乞いとなって、そして沈黙していった。
 そして、数分後には画面の向こうに立っているのは、彼女ら2人だけとなっていた。

「掃討完了しました、マスター」

 返り血を浴びた私の妻と娘にそっくりな2人が、まるで感情のない機械のように淡々とした声で伝えてくる。
 その報告を、私はフカフカのソファに身を預けながら静かに聴いていた。

「ヤツに関しての情報は?」
「必要な分は、全て把握済みです」
「よろしい、そちらに迎えのヘリがあと5分で到着する。必要な装備を受け取った後、本隊に合流して次のフェーズに移行だ」
「了解です、マスター」


 かつて私は、ヤツに妻と娘を攫われ……

 そして、壊された……

 保護された二人は心を病み、そしてまもなく死んでいった……

 二人を看取り、絶望した私に残されたのは、ヤツに対する復讐心だけ……

 だから、私は同じ想いの協力者たちから資金を集め……

 復讐の牙を揃え……

 用心深いヤツを釣る餌をまき……

 慎重に罠を仕掛けて待ち続けた……


――ガチャッ

 乗っていたリムジンから滑走路に降り立つと、私の牙たちが出迎える。
 兵器産業に食い込むことで手に入れた数々の最新鋭兵器たち。
 集めた莫大な資金を使って、世界中から集めた腕利きの兵士たち。
 それらが格納庫から出てくる最新鋭戦闘機と大型輸送機へと次々と積み込まれていく。

――ついにヤツの尻尾を掴んでやった!!

 もう、ヤツが世界のどこへと逃げようとも、この日の為に集めた莫大な資金と特権を使って、必ず狩り立ててやる。

 だが、私は決してヤツを殺したりなどはしないだろう……

 絶望した私に残されているのは、もうヤツへの復讐心だけなのだから……





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