淫獣捜査 隷辱の魔罠

【66】 VIPルーム

 扉を開けたイクさんに、俺は促されるままに中へと足を踏み入れる。
 それまでの厳粛な雰囲気もあり、俺の緊張も高まっていた。なるべく平静を装いながら、背後の玲央奈を守れるように気を配る。
 そんな俺を待ち構えていたかのように何者か覆い被さってきた。

「待たせて悪かったなぁ、ルーキー」
「タ、タギシさん」

 熱烈なハグをしてきたタギシさんは、相変わらず白い歯が輝きそうな爽やかな笑顔を浮かべていた。
 突然、男に抱きつかれて硬直してしまった俺だが、彼だとわかり緊張を和らげた。

「び、びっくりしましたよ」
「あぁ、わるい、わるい。海外生活が長いんでな、つい癖になっててな。ちょいと野暮用が長引いちまって、待たせたな」
「いや、大丈夫ですよ。そのお陰で収穫もありましたしね」

 意味ありげな俺の視線に、ようやく背後にいる奴隷の存在に気づいたようだ。俺から離れると、検分するかのように見つめはじめる。

「へぇ、意外に手が早いんだなぁ。なかなか良さげな……牝奴隷……って、おいおい、ちょっと待てッ」

 足元から見上げていき、玲央奈の顔で二度見する。海外生活が長いと言っていたが、流石に彼女が何者かわかったようだ。彼女と俺を見比べるとペシッと手のひらを額に当てる。

「ふーッ、いや、これは予想外だな……うん。ちょっと俺はルーキーを見くびってたようだな」
「たまたまですよ……ホント」

 その言葉には偽りはない。あの場に玲央奈が逃げて出会わなかったら、彼女は今頃あのオヤジに凌辱されていたことだろう。
 その上、俺自身も彼女を本能的に助けたものの、奴隷として保護することに一瞬であれ躊躇してしまった。
 だが、タギシさんの今の反応を見れただけでも、彼女を助けた選択が正解だったように思えてしまう。

(これなら他の会員にも充分にインパクトは与えられそうだな。そうなればオーナーの目に留まり、近づくチャンスに繋がるかもしれない)

 それを抜きにしても、やはり国民的アイドルに奴隷衣装を着せて、その首輪に繋がれた鎖を持っているというだけで、鼻高々になってしまうようだ。
 八祥さんに見せたように、鎖を手繰り寄せて後手に拘束された玲央奈の身体を抱きしめる。シャープな顎下に指を掛けて上向かせると、見せつけるように歌姫の唇を奪ってみせるのだった。

「……へぇ、これまた、ちょっとの間に随分と主らしくなったじゃないか」
「そう見えるなら、嬉しいですね」

 透明な糸をひきながら唇を離すと、玲央奈は名残欲しそうに目を潤ませる。代わりに俺の指を押しつけてみれば、嬉しそうに咥えて舌を絡ませてくるのだった。
 その従順な牝奴隷の姿が演技だとわかっていてもゾクゾクとさせられる色っぽさだ。再び硬くなる股間にお尻の谷間を押しつけてくるのだから、興奮するなという方が酷だというものだ。
 当人の俺でさえそうなのだから、他者からはそれ以上に見えるのだろう。タギシさんから見た、奴隷の主としての俺の評価が上がっていくのが実感できた。

「ふーッ……うん、これは嬉しい誤算だな……すげぇなぁ、ますます、お前さんのことが気に入ったよ」

 表情を改めたタギシさんは、真剣な眼差しで右手を差し出してくる。
 認められたのが女性を奴隷として扱うご主人様としてなのだが、やはり人に認められるというのは嬉しいものだ。
 ようやく、倶楽部に受け入れられたようで、俺は握手を交わしながら口許を綻ばせてしまうのだった。

「さて、改めて、ようこそVIPルームへ」

 足を踏み入れたのは赤を基調とした内装の豪華な部屋だ。シャンデリアが吊るされた二十メートル四方の空間には、奥の壁に館内の調教風景が次々と映し出され、それを楽しめるようジャグジーやバーカウンターなど様々な設備が完備されてある。
 もちろん女を抱き、調教できる設備もリモコンひとつで姿をあらわす仕掛けになっていた。

(どうやら涼子さんは、ここにはいないようだ……)

 彼女と再会するものと緊張していたが、肩透かしをくらったようだ。
 素早く室内を観察した俺は、室内にはまだふたりの人物がいることに気がつく。
 どちらも奴隷の証である首輪をつけた女性だ。
 ひとりは栗色の髪をショートヘアーにした褐色の肌をした女性だ。顔立ちが案内をしてくれたイクさんに似ているから姉妹なのかもしれない。だが、顔立ちが同じでも気の強そうな眼差しが、印象を真逆にさせている。
 それに加えて鋼のように鍛えられた肉体も印象的だ。腹筋も見事に割れ、筋肉美という言葉が自然とでる容姿は、女闘拳士というイメージが一番近いだろう。
 涼子さんとは違い格闘技とは縁のない俺だ。彼女には簡単に昏倒させられそうだ。だが、彼女は『13』と刻まれたゴールドプレートを付けられた牝奴隷でもある。
 権利のある会員なら彼女の抵抗を奪い、自由に責めたてることもできるわけなのだ。

(自分より非力な相手に責められて、悔しげに見つめてくれるのだろうか。それとも、意外にMっ気が強いかもしれないな)

 そんな妄想を描けるまでに俺はなっていた。
 もうひとりのゴールドプレートには『18』と刻まれている。
 濡れたような長い黒髪と細い目元から大陸系の血筋を感じさせる。最大の特徴は透き通るような白い肌の上には龍の刺青が彫られていることだろう。
 左足から巻きついた龍は、全身に絡みついて背中で鋭い眼光を光らせている。
 見事の曲線美を描く女体をキャンパスに見立てた見事の芸術品に仕上がっていた。

「すげぇだろう? ここからなら、施設内の大概のところは見れるんだぜ。支配人の爺さんからもぎ取った奴隷三人をお前さんと楽しもうと思ったんだがなぁ」
「ははは、拗ねないくださいよ。どれも魅力的な奴隷ばかりじゃないですか」
「ふぅ、その言葉が嫌みに聞こえてしまうのは、俺の器量の狭さ故だよなぁ」

 深々とため息をつきながら、彼は苦笑いを浮かべる。だが、その目は昏く濁っており、俺が抱く玲央奈へと視線を向けていた。

(ちょっとやりすぎたか、効果が強すぎるのも考えものだな……)

 ここに集まるのは、偽物の俺とちがって何かしらで成功した者ばかりだ。当然、高い自尊心を持っている。それを傷つける行為が、こうして嫉妬や妬みをかうと実感させてくれたわけだが、ここで彼との関係は拗らせたくはなかった。

「もぅ、次の機会にはお貸しできるように仕上げておきますから、今日のところは勘弁してくださいよ」

 降参とばかりに両手をあげて、おどけてみせる。彼を真似てのオーバーアクションだったが、それなりに効果はあったようだ。憑き物が落ちたように本来の彼に戻っていた。

「ほぅ、ぜってぇだなぁ、嘘は許さねぇからな」
「ええ、約束しますよ」

 次の機会があるかは微妙だが、その時には玲央奈との偽りの主従関係は終わっているだろう。彼に対する良心の呵責があったが、今はこう言うしかなかった。
 ひとまず目に見えて良くなる彼の機嫌に胸を撫で下ろした。

「まったく、しょうがないなぁ。今回は貸しだからな。折角のゴールドプレートだ、どれか好きなの味わえよ」

 まるで道具の貸し借りのような気軽さだ。こういう執着のなさも場合によっては必要なのだろう。
 ここに来たときは女性をモノ扱いするのに抵抗があったが、今では違和感を感じなく会話をできていた。彼の言葉に躊躇することなく、イクさんを指定していた。

「先ほどお世話になりましたしね。それに、どうせだから、一緒にやりませんか? いろいろと設備の使い方とか俺に教えてくださいよ」
「ははは、調子の良いヤツだなぁ、そういう甘え上手なのは次男坊に多いタイプだな」

 元々、世話焼きで俺に話しかけてきた彼だ、苦笑いを浮かべつつも頼られるのは悪い気はしないらしい。剣呑とした眼差しに嗜虐者らしい冷たい光を宿しはじめる。
 対する俺も苛立たせたイクさんにお仕置きできるとあって、気分が高揚していた。

「あらあら、先ほどことをお気に障っていたのかしら……おふふ、お二人でなんて、困ってしまいますわね」

 言葉とは裏腹に、その口調には困っている様子はない。それどころか、ニマニマと不愉快な笑みまで浮かべているのだ。
 あきらかに挑発されているがわかる。その証拠に、タギシさんは止めるどころか、俺の反応を楽しんでいる節があるのだ。

(奴隷に舐められるのは、最大の屈辱だな……だが、その苛立ちをそのまま振り回すのは、もっと無様で嫌だな)

 逃げた玲央奈に拳を振り上げた中年男が脳裏に浮かぶ。あの男と同じになるのは屈辱でしかない。
 腹の底から沸々とこみ上げる怒りに飲み込まれぬよう、心を俯瞰させていく。客観的に自分を見ることで冷静さを保ちつつ、怒りを冷たく鋭い刃と化していくのだった。
 その俺の眼差しにゾクゾクと彼女の身体が震える。途端に、瞳は熱く潤ませ、熱い吐息を溢しはじめた。

「合格なようだな。こいつは根っからのマゾヒストだからな、相手を煽りながらも、ちゃんとサディストを見極めやがるのさ。こいつの色香にフラフラと引き寄せられるようじゃ、逆に喰われるだけだからな。だが、こうなりゃ、なにしたって股間を濡らすような牝だ、遠慮なんてするなよ」

 奇しくも難関を突破できたようだ。まるで不意打ちテストを受けさせられた学生の気分だが、合格したのであれば、それも些細なことだった。



 コントロールパネルを操作したタギシさんは、床下から拘束台を出現させた。
 横から見るとT字型をしたそれは、一メートルほどの円柱状の台座に支柱がついたものだった。
 そこへ俺の手でアームバインダーを装着されたイクさんが乗せあげられた。全裸に剥かれた彼女は拘束袋によって二の腕までスッポリと覆われている。その指先部分にあるリングへとワイヤが繋げられると、ウィンチによって天井へと吊り上げられていった。
 背後で揃えられた両腕が徐々に持ち上がり、前のめりの姿勢にされていく。
 その状態のまま台座の金具と首輪を鎖で繋ぎ留めると、上半身の自由が奪われてしまう。

「次はそいつだ、右足の方を頼む」

 タギシさんの指示で手にしたのは鉄球付きの足枷だ。ズッシリとした重さで両手でないと持ち上げられない重量だ。それをだらりと宙に浮く両足に装着していくのだ。
 手を離した途端、ズンと両足が地面へと引かれて、股間を台座へと深く食い込ませてしまう。

「ぐあぁぁぁン」
「見てみろよルーキー、これだけで、嬉しそうに股間から涎を垂れ流してるぞ」

 拘束された身を震わせる彼女の股間から、早くも潮を吹き、溢れだす愛液が台座を濡らはじめていた。
 すでにトロンと瞳を潤ませて、乳首を硬く尖らせている状態だ。マゾヒストを前にするのは初めてだが、どこまで耐えられるのか試したくなる。
 俺は近くにある責め具から鰐口クリップを手に取ると、迷うことなく乳首へと噛ませていく。
 ギザギザの金具が食い込まれ、乳首が押し潰されてしまう。

「ぐぅぅッ、あぁぁ」
「ほぅ、いいねぇ。どうせなら重りも付けて喜ばせてやれよ」
「えぇ、これですね」

 鉛製の重りをそれぞれのクリップへと吊り下げていく。その重みで乳首が無惨にも引き伸ばされてしまい。痛みに身を震わせれば、それが遠心力となって錘を揺らして、更なる責めとなるのだ。

「こりゃ、俺も負けてられないな」

 俺の作業に平行してタギシさんは浣腸の用意をしていた。
 奴隷たちが豊満な尻肉を押し広げ、潤滑クリームで肛門をほぐしていく。その一方で彼はガラス製の浣腸器にドロリとしたピンク色の粘液を吸い込んでいるのだった。

「ほれ、大好物の特製カクテルだぞ」
「あッ、あぁぁぁン、入ってくるぅ」

 次々と腸内へと怪しげな粘液が注ぎ込められていった。下腹部が膨らむほどの量が注入されると、ブラックメタルのアナルストッパーが押し込まれて栓がされた。

「しっかり咥えこんで漏らすんじゃないぞ、漏らしたら倍の量を入れてやるからな」
「ぐぅぅ、は、はぃ」
「さて、それじゃぁ、メインディッシュだ……たっぷりと味わえよ」

 コントロールパネルが操作されると、台座の中央が窪み、下から異形の人工男根が姿をあらわす。まるで蛇のようにうねる長い肉茎にタコの吸盤ようなものが無数に生えており、それらが独立して蠢いているのだ。

「ひぃぃぃッ」

 涼子さんに使われた異形の淫具を思い出させるそれが、すでに大量の愛液を垂らす秘唇を押し広げて、まるで生き物のように吸盤を使って膣内へと侵入していくのだ。
 ズルズルと長い胴体が台座から出ては、女の中へと入っていく光景は生物的で、リグラー同様の生理的な嫌悪感を抱かせる。
 だが、同時にその異形の怒張に美女が身体の内側から犯される様に、残酷な悦びも感じてしまうのだった。

「すげぇだろ? さっきみたリグラーほど高性能じゃねぇから、細かい動きはできないけどな」

 このVIPルームでは、一般会員では使えないこういう淫具も使用可能なのだという。限定している理由に高価であるのもあるが、強力すぎて牝への負担が大きすぎるのも理由らしい。

(ならば、リグラーを経験したというナナさんもここで体験したのだろうか?)

 彼女は数少ないプラチナプレートの奴隷だ。当然、相手をできる人物も限られるだろう。
 性に対しても自由奔放そうな彼女に、あそこまで震えあげさせる責めをした人物に、興味がわいてくる。

(まぁ、この人もかなりエグいけどなぁ)

 淫具が子宮まで入り込み、膣洞でどくろを巻いて太さを増していく。その様子をスキャンして解析された映像が壁に投射されていた。
 白眼を剥いて悶絶するイクさんの姿を愉しそうに眺めていたタギシさんは、鼻歌混じりにコントロールパネルを操作していく。

「ほれ、止まってないで、自分でも腰を振れよな」

 それを合図に台座が静かに動き出す。まるロディオマシンのように緩急をつけて台座がうねりだすと、その上に拘束された裸体が跳ねはじめた。

「あひぃぃぃッ」

 それの呼応するように淫具の動きに変化がでる。先端を楔のように子宮まで侵入した淫具は、まるでドリルのように全身を回転させはじめた。
 ビッシリ生えた吸盤が膣壁を子削ぎ落とし、愛液を内部から掻き出していく様は凄まじいものだった。まるで失禁したかのような大量の愛液が吐き出されて、ビチャビチャと床に水たまりを作っていくのだ。

「こいつも、また凄まじいですね」
「まぁ、こいつなら発狂はしないで耐えられるだろうよ。だが、やっぱり最後は自分の手でだよなぁ」
「えぇ、舐めた真似をしたのを後悔させやりますよ」

 お互いに顔を見合わせると乾いた笑みを浮かべる。その手にはそれぞれ鞭が握られているのだった。



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